試合レポート

仙台育英vs鶴岡東

2019.10.19

仙台育英、チャレンジが見えた投手継投で東北大会を制する!

仙台育英vs鶴岡東 | 高校野球ドットコム
仙台育英

 第72回秋季東北地区高校野球大会は18日、[stadium]岩手県営球場[/stadium]で決勝が行われ、仙台育英が11対8で鶴岡東を破り、3年ぶり10回目の東北王者に輝いた。

 5回に6点を奪われ逆転を許した仙台育英だったが、7回に途中出場の佐々木涼外野手(2年)が2ランを放ち1点差に迫ると、続く8回に二死走者なしから5連打で4点を奪い再逆転。5回途中から三番手としてリリーフしていた左腕・向坂優太郎投手(2年)は9回にピンチを背負うも、粘りのピッチングで鶴岡東の反撃を凌いだ。

 仙台育英は11月15日に開幕する第50回記念明治神宮野球大会に東北地区代表として出場する。

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須江航監督(仙台育英)

仙台育英須江航監督のインタビュー
 昨日凄く良い試合ができたので、今日は決勝戦ですから、色んなチャレンジをしたいなと思って、色々挑戦した結果、クロスゲームになったのですが、よく勝ちきってくれたと思います。例えば攻撃のバリエーション、投手のつなぎ方とか、ちょっと苦しい場面まで引っ張るとか、苦しい場面で投げさせるとか、春に向けた取り組みの先に、苦しかったですけど勝てて良かったと思います。お互いにこの試合が春につながらないとダメだと思いますし、ただ勝つだけではダメな試合だと思いますから、そういう意味では色んなチャレンジができて素晴らしかったと思います。

(8回の二死からの5連打は)このチームが始まってから、終盤3回の強さがずっと出ています。これが新しい伝統だなというので自信を持ってやれているので、そんなに離されていなければ、いつでもひっくり返せる雰囲気があるので、本当に心強いです。選手は良い顔でやっていたので、必ずひっくり返せると思っていました。

 本来は投手力を整備したいと思っていたが、夏の[stadium]甲子園[/stadium]が終わってからの2か月では間に合わず、ただ打撃に関しては想定を上回るような成果がでている。冬にしっかり修正して、春にはスケールを大きくして勝負したいと思っています。1人、1人がやることをわかっているので、強振する場面と、軽打する場面と、つないでいく場面を理解しているので、それが色んな投手に対応できているのかなと思っています。

 相手の鶴岡東さんもよく練習試合をさせていただく仲なので、いつも粘りのある素晴らしいチーム。出てくる選手も役割を果たしているので、お互いに高め合って、一緒に春に勝負したいと思います。

(明治神宮大会へ向けては)これも春につながっていなければいけないので、しっかりとしたチャレンジを、課題を持って、ただ勝敗だけにこだわらず、収穫を得られる大会にしたいと思います。

[page_break:田中祥都主将の勝利インタビュー]

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田中祥都主将(仙台育英)

仙台育英田中祥都主将のインタビュー
 この東北大会は苦しい試合ばかりだったが、向坂を中心に投手陣がよく踏ん張ってくれて、打撃でも自分たちの役割が明確になって攻撃できて、こういう展開でも勝てるチームになったと思います。

 この試合は神宮と、春に向けてつながらないといけないので、その中でこういう展開になっても自分たちの野球を貫き、楽しみながらプレーできたので、そこが本当に良かったと思います。苦しさはあったが、そこを楽しみに変えられた結果だと思います。

 こういう試合を何回もひっくり返してきたので、負ける気はしなかった。

 県大会東北大会と勝ちながら強くなれたと自信にできているので、神宮大会へ向けて修正するところは修正して、スケールの大きな野球を目指せるように、しっかり時間をかけてチームを作っていきたいと思っています。

[page_break:仙台育英、チャレンジが見えた投手継投!]

仙台育英、チャレンジが見えた投手継投!

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先発した笹倉世凪(仙台育英)

 試合時間は3時間23分。両チーム合わせて27安打の打撃戦になった決勝。

 仙台育英の須江監督は、「準決勝が2試合ともコールドだったので」と有力になった春を見越したチャレンジの試合と位置付けた。ちなみに先発に今大会初登板の山﨑俊太郎(2年)を立てた鶴岡東サイドも似たような考えだろう。

 東北地区の春の選抜一般枠は2。順当なら準決勝が2試合ともコールドになった時点で有力と見られる。ただし、秋季大会は選抜の予選ではないが・・・

 その中で須江監督の言う仙台育英のチャレンジが見えたのが投手の継投。先発のエース・笹倉世凪(1年)が5回にピンチを背負ったところで、右の杉山歩海をリリーフに送った。楽な場面ではなく、あえてピンチで投入して、どうしのぐか。四球とタイムリーを浴びて結果はうまくいかなかったが、杉山にとっては良い経験になったと捉えることができるだろう。

 三番手の向坂は準決勝の盛岡大附戦で8回コールドながら完投。そこからの連戦だった。失点はしたものの、笹倉が不調の中で、今大会でのエース格の活躍をしたと言っていい。

 その向坂は、「4大(全国)大会を制覇するのが、チームの目標でもある」と言った。春へとつながる秋の神宮。当然、目標は全国大会優勝だ。

 もう一つ、気になるのが失点の多かった笹倉。「四球が多くなってしまっている。投球フォームが納得いってない」と話す。決勝では試合開始当初はセットポジション。それが4回からはワインドアップに変わった。肘の位置も模索をしているようだ。1年生にとって初の秋。夏の疲れが今に出てきているのかもしれない。11月の神宮大会で笹倉の今回の課題がどうなっているかも注目したい。

(文=松倉雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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