日大二vs都立小山台
雨中の乱戦!日大二の3番・戸谷 4安打の活躍で都立小山台を突き放す
日大二の先発・折笠利矩
2年連続で東東京大会準優勝の都立小山台と伝統校の日大二の好カード。しかし台風19号の影響で、グラウンドは多くの水分を吸いこんでいるうえに、この日もあいにくの雨。グラウンド整備が懸命に行われたが、グラウンドの状態が悪いのは致し方無いところだ。
夏までは3年生の安居院勇源がほぼ1人で投げていた都立小山台は、福嶋正信監督が、「ピッチャーがいない」と嘆く。先発のマウンドには背番号15の左腕・伊藤勝真が立った。一方日大二は、経験は十分ある左腕の折笠利矩が先発した。
けれども先に崩れたのは折笠の方だった。2回表は二死満塁のピンチを無失点で切り抜けたが、3回表もピンチを招く。安打2本と四球で一死満塁とし、都立小山台の5番・杉本陽樹は遊ゴロに倒れたものの、6-4-3の併殺狙いの一塁送球が悪送球になり、都立小山台が2点を先制する。
さらにこの試合当たっている6番・濱口隼が中前安打。雨で外野の芝生への打球はスリップするため、捕球できなかったうえに、本塁への送球が悪送球になり、1点を追加。濱口も7番・森村輝の中前安打で生還した。折笠は、足場を気にして本来の投球ができなかったうえに、味方の失策も重なり、この回4点を失った。
日大二にとっては負けパターンであるが、田中吉樹監督が「このチームは不思議な力があって、負けないんですよ」と言うように、徐々に反撃を開始する。
3回裏、日大二は一死一、三塁から4番・折笠の左前安打で1点を返すと、その後2者連続の四球で押し出しで1点を取る。さらに4回裏は一死満塁から4番・折笠の内野安打で1点を返すと、5番・杉山の中前安打で2人が還り、逆転する。
ただ日大二も勝ち切れない。5回表都立小山台は、濱口の二塁打など3点を入れ、再び勝ち越す。
しかしながらこの試合、雨天によるグラウンド状態の悪さもあって守備が荒れ模様。その裏日大二は敵失絡みで同点に追いつくと、3番・戸谷進太郎のライト線への適時打で勝ち越した。「初球のカーブです。緩い球が来ると思っていました」と勝ち越し打を打った戸谷は言う。日大二は8回裏も戸谷の右前安打をきっかけに2点を追加して試合を決めた。戸谷はこの試合4安打の活躍で、乱戦気味の試合において、日大二を優勢にする原動力になった。
また日大二は7回表からは折笠に代わり、やはり左腕の小磯孝平を投入。小磯は走者を出しながらも、チェンジアップなどを駆使して小山台打線を抑え、10対7で日大二が勝ち、2回戦に進出した。
日大二は進学校であり、野球部だからと特別扱いはない。そのため、補習を受けなければならない部員も多く、なかなかメンバーが揃わないという。雨天に加え、そうした状況も加わって乱戦となったが、勝ったことは収穫であった。
一方都立小山台は、まずは投手を育てなければならない。先の台風19号の影響で、月に数回使用していた多摩川河川敷のグラウンドが使えなくなったことは、かなり痛いようだ。それでも都立小山台は、秋から春、春から夏と、着実に力をつけるだけに、春以降の戦いぶりを注目したい。
(文=大島 裕史)