試合レポート

川口青陵vs西武文理

2019.09.24

中盤以降突き放した川口青陵が逆転で初戦突破

川口青陵vs西武文理 | 高校野球ドットコム
吉場大輝(川口青陵)

 台風の影響からライトからレフトへの強風吹き荒れる[stadium]大宮市営球場[/stadium]の第一試合は、川口青陵西武文理、試合はその風の影響をもろに受ける展開となった。

 先発は西武文理がトップバッターも兼ねる右サイドのエース島田宙武(2年)、一方の川口青陵は地区予選の浦和東戦同様に背番号10の金澤直矢(2年)が登板し試合が始まる。

 先制したのは西武文理であった。

 初回、川口青陵・金澤の立ち上がりを攻め、一死から2番・戸澤颯太(2年)がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く吉川もセンター前ヒットで続く。さらにこの打球をセンターが後逸する間に、一走・戸澤だけでなく、一気に打者走者・吉川まで生還し西武文理が幸先良く2点を先制する。

 一方、川口青陵の反撃は2回裏、この回先頭の吉場大輝(2年)がレフト後方への飛球を放つ。打球は風に乗り、レフト越えの二塁打となり無死二塁とする。一死後、6番・高山晃輝(2年)がライト越えのタイムリー二塁打を放ちすぐさま1点を返す。

 川口青陵は4回裏にも一死から5番・金澤が死球で出塁すると、続く高山のセンター後方への飛球が、風に乗って二塁打となり、一死二、三塁とチャンスを広げる。ここで川口青陵ベンチは7番・渡辺宏(2年)の所でスクイズを敢行する。これが相手のフィルダースチョイスを誘い、2対2の同点でさらに一死一、三塁とチャンスは続く。続く龍福太久郎(2年)もレフト越えタイムリー二塁打を放ち3対2とついに逆転に成功するが、9番・小林海優(2年)はサードゴロに倒れると、三走・渡辺が本塁封殺され二死一、三塁となる。続く川島蒼汰(2年)の所で一走・小林が初球二盗を試みると、キャッチャーの二塁送球をセカンドがカットし三塁へ送球したのだが、これが悪送球となり4対2とし、西武文理・島田をマウンドから引きずり降ろす。

 川口青陵は6回裏にも西武文理の2番手・中村を攻め、この回先頭の渡辺がサードゴロエラーで出塁すると、続く龍橋がきっちりと送り一死二塁とする。続く小林も四球を選び一死一、二塁とチャンスを広げると、1番・川島の所でキャッチャーがファンブルする間に走者がそれぞれ進塁すると、さらにキャッチャーの三塁送球が悪送球となりまず1点、結局川島も四球を選び再度一死一、二塁とすると、二死後、3番・菅野郁真(2年)がファースト強襲ヒットを放ち二死満塁とチャンスを広げる。ここで続く吉場が押し出しの四球を選び6対2とすると、5番・金澤のセカンドゴロがタイムリーエラーとなり、川口青陵は結局この回3点を奪い7対2とし、試合の主導権を完全に握る。


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山岸佳太(川口青陵)

 一方の西武文理だが、2回以降も毎回のように走者は出し、スコアリングポジションまで走者は進めるのだが、なかなかチャンスで一本が出ない。川口青陵は前の浦和東戦、6回で継投に入ったのだが、金澤が前の試合に比べ四死球が少なく、中盤以降は点差もついたことで、金澤を7回まで投げさせてしまう。そして、川口青陵は8回からは満を持してエース山岸佳太(2年)が登板する。

 川口青陵は8回裏にも、この回先頭川島のライト前ヒットを足がかりとし、二死一、二塁とすると、ここで5番・山岸がレフト前タイムリーを放ち8対2と試合を決めた。

 川口青陵投手陣は西武文理打線に対し、初回以降は連打を許さず、6安打2失点に抑える。結局川口青陵が8対2で西武文理に快勝し初戦を突破した。

 まず西武文理だが、この日内野守備が4失策と乱れた。しかも大事な場面での送球エラーが2つ出てしまい、せっかく初回良い試合の入りをしたのだが、流れを失った。今後まず手を付けなければならないのは守備力の向上であろう。そして、もう一つは投打の柱を育てることだ。チームとしてのまとまりは感じるが、現状では投打にやや決め手を欠く。唯一、チームのリードオフマンでエースの島田がそれに該当するが、1番・ピッチャーはあまりにも彼に対する負担が大きい。今後、チームの主軸や島田の後ろを確実に任せることができ、かつ先発完投能力のある投手が出てくれば、彼の負担も確実に軽減できるであろう。来春までにやるべきことは多いが幸い時間は十分にある。西武文理の今後に期待したい。

 一方の川口青陵は、初回いきなりの拙いプレーでの失点も、慌てることなく落ち着いて中盤以降きっちりと逆転して見せた。4番・吉場を中心とした打線が振れていて勝負所での機動力や小技も効いている。投手陣も金澤、山岸のリレーは安定しており、チームは良い状態にあるが、予断は許さない。というのも次の相手はMAX146km本格派右腕・内田と左腕・田村の二枚看板を擁する埼玉栄である。苦戦は必至だ。まずは今大会好調の埼玉栄打線に対し、失点を最小限に食い止めロースコアに持ち込むことができるかが鍵であろう。投手陣に隠し玉などいればなお良いが、まずは金澤、山岸の頑張りに期待したい。

(記事:南 英博

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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