県立岐阜商vs大垣西
4点差を9回に追いついた県岐阜商、延長11回で制し、新たな勝ちパターンで進撃
8回からリリーフして、4イニング1安打無失点に抑えた県岐阜商・西内君
前日は、天気予報で悪天候が予想されていたということで、早々に順延が決まった岐阜県大会の準決勝。1日の順延がどう影響を及ぼしたのかというのは、難しいところではあろう。会場となっている[stadium]大野レインボースタジアム[/stadium]は、岐阜市もしくは大垣市の市街地から山の方向へ向って行ったところにある。
そんな場所での試合でも、来春のセンバツのかかった県大会準決勝でこの日に勝てばまずはその権利に近づける東海大会進出が決まるということもあって、多くのファンや保護者たちが早くから集まっていた。
大垣西はすらっとしたタイプの大石君、県立岐阜商は今春からの経験も豊富な野崎君が先発。まずは、お互いの投げ合い、投手戦という様相で、両校通じて初の走者が3回の大垣西で、相手失策によるものという形だった。それくらいにお互いに攻撃の突破口がないまま試合が進んでいく。
5回に大垣西が死球の走者をバントで進めるとも二死二塁から1番の北沢君が三塁線を破るタイムリー安打で先制。さらに6回にも2番小山君と松岡君の連打から始まって、ボークと四球も絡んで無死満塁。ここで松井君の内野ゴロは3~2~3の併殺かと思われたが、本塁のベースタッチが届いていないということで失策となり1点が入る。さらに四球後8番五十川君と大石君の連打で3点が追加されてこの回4点が入った。
5点差は、さすがに県立岐阜商も重いだろうと思われた。しかも、6回を終わって県立岐阜商は毎回3人ずつで抑えられていた。ここまで、パーフェクトだったのだ。ところが7回、先頭の多和田君が中前打してやっと突破口を作ると、3番佐々木君が左翼席へ2ランを放り込んで3点差となり俄かに試合展開もわからなくなってきた。
4点差のまま、逃げ切りたい大垣西だったが、9回3人目の日比野君が死球と四球で無死一二塁としてしまう。ここで4番佐竹君が左翼線へ二塁打して1点差。さらに四球後岩田君の右前ポテン安打と同じく途中出場の宇佐美君の犠飛でついに同点となった。
延長に突入した試合は、県立岐阜商の3人目西内君が8回から登板して無安打で抑えていく。そして11回、先頭の4番佐竹君が右前打で出ると、ここで大垣西は4人目として左翼を守っていた五十川君がマウンドに登る。バントで二死二塁となって、9回に同点となる犠飛を放った宇佐美君が左前打してこれで勝ち越し。さらに服部君も左中間へ三塁打してこの回2点。このリードを西内君がキープして県立岐阜商が逆転の勝利で、4年ぶり35回目の秋季東海大会出場を決めた。
6回までは完全に抑えられていた県立岐阜商だったが、鍛治舎巧監督はそのことはあまり気にかけてはおらず、「気持ちよく投げさせてしまいましたね。飛球も多くて、6回まで18アウトの内12が飛球ですからね。それでも、こうして打てないときにどうしていくのかということで、それを克服出来たことで新しい勝ちパターンも見つけたと言っていいでしょう。チームとしては、夏休みの練習試合では甲子園出場しているようなところばかりとやってきているのだけれども、負けていません。そういう自信が最後になって、出せたのではないかと思う」と、勝ったことでまたチームもグレードアップしていくのだと、苦しい戦いも糧としていた。
大垣西は、一旦はほぼ手中にしかかった勝利を逃した形になってしまった。それでも、3位決定戦での東海大会進出への希望は残っている。この試合での善戦を、次の試合へ繋げていきたいところであろう。
(文=手束 仁)