試合レポート

上尾vs早大本庄

2019.09.13

上尾5回コールドで県大会出場を決めるも投手陣に一抹の不安

上尾vs早大本庄 | 高校野球ドットコム
10点目のタイムリーを放つ上野(上尾)

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 新人戦ベスト4のシード校上尾対、地区予選初戦で栄北をコールドで下した早大本庄という北部のライバル校同士の一戦となったこの試合、好ゲームになると思われたが試合は意外な展開となった。

 先発は上尾堀勉大(2年)、早大本庄・清水と両エースが登板し試合が始まる。

 まず初回、上尾早大本庄・清水の立ち上がりを攻め立て、先頭の佐藤弘教(2年)が四球で出塁すると、続く大沢翔一郎(2年)の犠打をサードが一塁へ悪送球を放り無死二、三塁とチャンスを広げる。ここで3番・上野峻平(2年)がライト前2点タイムリーを放ちまず2点、さらにライトが転ぶ間に上野は二塁へと進む。続く秋葉敬太(2年)のセカンドゴロで二走・上野は三進すると、二死後、6番・田中伶がショートへのタイムリー内野安打を放つなど上尾が幸先良く3点を先制する。

 一方の早大本庄もその裏、上尾・堀の立ち上がりを攻め、先頭の飯塚悠斗(1年)がレフト前ヒットを放ち出塁するが、続く山﨑創太(2年)の犠打は失敗に終わる。それでも、3番・清水がライト前ヒットを放ち一死一、三塁とチャンスを広げると、一走・清水は続く反町恵眞(2年)の所ですぐさま二盗を決める。結局反町も四球を選び一死満塁とチャンスを広げるが、5番・小林の打球はショートへのハーフライナーとなる。ショートはその打球をワンバウンドで取ると2塁、本塁と送球され結果併殺で早大本庄はこの回無得点に終わる。

 バックの頭脳プレーもあり、何とか初回を無失点で凌いだ上尾・堀であったが、2回以降も立ち直りの兆しが見られない。

 早大本庄は2回裏にもこの回先頭の青木紳(2年)がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く畑﨑がきっちりと送り一死二塁とする。8番・笠井駿汰(2年)もライト前ヒットを放ち一死一、三塁とチャンスを広げると、二死後、一走・笠井が二盗を決め二死二、三塁と再度複数得点を奪うチャンスを迎えるが後続が倒れまたしても無得点に終わる。

 初回に3点をリードしながらも、その後なかなかゲームを支配できない上尾は、3回表、この回先頭の上野が四球を選び出塁すると、続く秋葉がレフト前ヒットを放ち無死一、二塁とチャンスを広げる。5番・金子がきっちりと送り一死二、三塁とすると、続く田中伶が犠飛を放ちまず1点、さらに7番・田中涼(2年)も左中間へタイムリー二塁打を放つなど5点差をつけた上尾が完全にゲームの主導権を握る。

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エース・清水(早大本庄)

 とにかく1点でも返したい早大本庄は、その裏、この回先頭の山﨑がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く清水が四球を選び無死一、二塁とする。さらに一死後5番・小林がセンター前ヒットを放ち一死満塁とし、上尾のエース・堀をマウンドから引きずり降ろす。三度複数得点を奪うチャンスを迎えた早大本庄であったが、続く青木が痛恨のピッチャーゴロ併殺に倒れどうしても1点が遠い。

 早大本庄3イニングで8残塁と実にもったいない形で序盤の攻撃を終える。

 一方の上尾早大本庄とは対照的にそつのない攻撃を見せる。4回表、この回先頭の堀が四球を選ぶとすぐに二盗を決め無死二塁とする。続く佐藤もセンター前ヒットを放つが二走・堀が本塁で刺され一死二塁となる。さらに相手のワイルドピッチで三進すると、2番・大沢がセンター前タイムリーを放ち6点差をつけ早大本庄のエース清水をマウンドから引きずり降ろす。

 代わった2番手・岩元に対しても続く上野が死球で出塁し一死一、二塁とすると、続く秋葉の所で上尾ベンチはダブルスチールを仕掛ける。これは失敗に終わるが、秋葉がレフト前ヒットを放ち二死一、二塁と再度チャンスメイクする。ここで5番・金子がセンター前タイムリーを放ち、7点差とすると、さらに続く田中伶が四球を選び満塁とし岩元をマウンドから引きずり降ろすと、代わった3番手・依田塁(1年)からも連続押し出しを選ぶなど、この回一挙4点を奪い9対0とし試合を決めた。



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エース・堀(上尾)

 結局、5回表にも一死二塁から3番・上野のセンター前タイムリーで10点差をつけた上尾、投げては2番手・倉持が早大本庄打線をきっちりと抑え5回コールドで試合を終えた。

 まずは早大本庄だが、とにかく序盤の拙攻が痛かった。2回あった一死満塁のチャンスを共に併殺で潰すなど、序盤の3イニングだけで8残塁であった。これでは流れを掴めない。実際、攻撃面を見ると、上尾と比較してもそこまでの差は感じなかっただけに、悔やまれる序盤の攻防ではなかろうか。

 早大本庄はこれで長い冬を迎える事となるが、今後まず取り組むべき課題は内野守備の向上であろう。また、エース清水もこの日は先頭打者への不用意な四球が目立っただけに、一冬を越えスピード・制球共に成長した姿が見たい。

 一方の上尾だが、そつのない攻撃や集中打はさすがだ。今夏の経験もある佐藤、大澤、上野を1~3番に並べ初回から圧力をかけていく。下位にも田中涼のような長打を打てる打者がおり、ある程度計算ができる打線である。むしろ今年は投手陣がとにかく不安だ。堀も倉持も共にオーソドックスな右腕でMAX130km行くかどうかという投手であり、今後県大会で失点の計算が立たない。

 この日はたまたま無失点で終わったが、大量失点を食らってもおかしくない展開であった。県大会へ向け誰が上尾の投手陣を引っ張っていくのか、投手陣に関しては再考が必要であろう。

(記事:南 英博

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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