試合レポート

関東一vs淑徳

2019.09.07

「今年は打線が引っ張る」関東一が圧巻の5回コールドで淑徳を下す!!

関東一vs淑徳 | 高校野球ドットコム
2点本塁打を放つ重政拓夢(関東一)

 「今年は、土屋大和谷幸之助みたいな投手陣の軸が居ないので細かく繋いで打力でカバーしていきますよ」

 米澤監督は今年のチーム像、戦い方について語ってくれた。裏付けるようにこの試合は4投手で細かく継投で試合を締めくくる。

 先発マウンドには本格派左腕・今村拓哉(2年)が上がった。旧チームでは、秋春ベンチ入りしていたが夏前に故障。米澤監督も治療に専念させ夏のベンチ入りは外したが復活に期待が懸かる。スピードボールではないがキレや重みのあるストレートを中心に投げ込んでいく。

 今年は打線が中心という米澤監督の言葉通り初回から打線が繋がりを見せる。
 1番・初谷健心(1年)が相手の失策で出塁すると、2番・渡邊貴斗(2年)の初球に盗塁を成功。走塁による揺さぶりは新チームでも変わらないようだ。渡邊が右安打で無死一、三塁のチャンスを作ると、3番・重政拓夢(2年)を迎えた場面で一塁走者の渡邊がスタート。すると淑徳捕手・常山紫馬(2年)の送球が浮いてしまい初谷が生還。関東一が足で先取点を奪う。
 この場面について試合後に常山は、「刺せずに悔しいです。プレッシャーのかかる走塁が徹底されていました」と悔しさを滲ませた。

 その後も点数を重ねて2回裏、6対0として迎えた淑徳の攻撃。4番・常山に中安打を許すと一死から、6番・金子岳(2年)も左安打で繋ぎチャンスメイクする。そこから、7番・赤羽陽太、8番・小川凱也(2年)の適時打で1点を返し、押し出しでもう1点。俄然攻め立てていきたい淑徳打線だが、この2点止まりに終わってしまう。淑徳が勝機を見出すなら2回裏の攻撃がすべてだったと考える。


関東一vs淑徳 | 高校野球ドットコム
主将・渡邊貴斗(関東一)

 ピンチを最小失点で切り抜けた関東一は、勢いを保ったまま終始試合をリード。
 点差が開いた4回裏のマウンドには、2番手の石澤真樹(2年)が上がった。右オーバーハンドから強いストレートとフォーク、小さく曲がるカットボールを投げ込んでいく。後ろのテイクバックが小さいフォームで、タイミングの取りにくい投手。その石澤はいきなり四球と安打を許すが後続を断ち1回を無失点で切り抜ける。

 そして3番手には、右サイドハンドの星瑠斗(2年)が上がる。一死後、死球と安打でピンチを招くもアウトを重ね二死一、三塁とするとここで投手交代。4番手に小野寺勇輝(2年)が上がる。最後の打者を打ち取り試合終了。最後は細かい継投で淑徳を圧倒し5回コールドで締めた。

 履正社に負けてから時間がなかった新チーム。その中でもさすがの仕上がりをみせた関東一ナイン。サインプレーや足技など細部のプレーは、完成しきっているといっていいだろう。主将を務める渡邊はこの日4安打と大当たり。その渡邊は、「実は、前日に監督から叱られました。背番号を貰い試合前の練習だというのに緩い雰囲気が流れてしまい集中力にかけていた」と前日の指揮官からのカミナリが選手の気持ちを高めた。

 自身の打撃についても、「球の遅い投手だったので詰まるぐらいの気持ちで打ちにいった結果が良かったんだと思います。でも、バントミスなどがありチームとして見直す点もたくさんあります」と試合を振り返り、主将としてチーム全体の課題を挙げた。

 今年の秋は、メンバー入りに1年生が7人と多い傾向。米澤監督も常に2年生があっての1年生というだけあって2年生の活躍が多々見られ、冒頭でも言った今年の関東一は打線で投手陣を、カバーしていくというチーム像が垣間見えた試合であった。

 一方、試合に敗れた淑徳の中倉祐一監督は「うちは打てる順に打線を組む中で、1・2番に期待していたのですが一度も出塁できずに終わってしまった。あえて私から言わない部分の意図をもっと感じながら子どもたちは成長して欲しいですね」とプレー面や試合展開を読む力を養っていきたいと語ってくれた。

(取材=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!