都立総合工科vs都立日野vs都立紅葉川
秋季大会一次予選を1週間後に控えて最後の調整の総合工科、日野、紅葉川
本来は投手だが、打撃センスもいい日野・関口君はタイムリー打も放つ
東京都では、この日がほとんどのところで夏休み最後の日ということになる。そして、先日組み合わせの決まった秋季大会一次ブロック予選は、もう今度の土曜日から始まる。従って実質、この日が大会へ向けての最後の実戦練習ということになる(もっとも、組み合わせによって試合間隔が空く学校は、申請すれば、対外試合は可ということになっている)。そんな中での、この日の総合工科グラウンドには西東京では都立校としての実績ナンバーワンと言っていい都立日野と、今春はベスト16に進出して夏のシード校として挑んだ都立紅葉川が、夏を最後に退いた田河清司前監督を引き継いで、高橋勇士監督が率いて初の公式戦を前に最終調整として訪れていた。
例年都立日野は、強力打線のチームという印象なのだが、この日に限って言えば、都立総合工科の鳥生君の気合の入った投球に抑え込まれたという印象だった。「新チームの打線は、まだまだ不安定だし村があるので、やはり秋は守りをしっかりさせていかなくてはいけない」という嶋田雅之監督だが、その一方で、「打力があるので起用した選手が慣れないポジションで判断ミスもあった」と、守りから崩れてそれが打撃にも影響していったことを反省していた。
都立日野としては、この日はエースとして予定している関口君が前日の試合で完投したということで登板回避していた。そんなこともあり、嶋田監督としてもある程度の失点も覚悟はしていたのだが、判断ミスからの失点は痛かった。幸いにして、都立日野の場合は初戦が1週間空いての15日(第21ブロック・桐朋会場、高輪)という組み合わせだ。だから、2週間じっくりと守備の精度を上げていくことはできる。
都立総合工科は、弘松恒夫監督としては、「都立で最も強いレベルにある都立日野に対して、ガチンコで挑んでどこまでやっていかれるか試していきたい」ということで、夏も背番号11でベンチ入りしていてこの秋はエースとして期待している鳥生君が先発。最後は、やはり夏のメンバーからベンチ入りしていたという伊藤優希君で締めていこうとしていたのだが、「鳥生が、完投させてほしいということなので、そのまま行かせた」ということで9イニング投げ切ったのだが、完投どころか完封で、「今日の投球が出来れば大丈夫。気持ちも入っていたし、ストレートも走っていた。今日の好投は大収穫」という気持ちにさせる素晴らしい内容だった。
紅葉川・日野
都立紅葉川の新チームは1、2年生全員で19人という小世帯。「旧チームの3年生は質が高くて、人数も多かったので、ほとんど試合経験がないまま新チームがスタートした」と、高橋監督が言うように、まだまだチームとしてのまとまりも技術的な面も発展途上だという。
実は、都立紅葉川と都立総合工科は、新チームが出来たすぐの7月下旬にも試合を組んだそうだが、その時は都立総合工科が大勝したという。「ボコボコにされて、試合になりませんでした」と高橋監督は苦笑する。それから1カ月、どこまで整備されてきたのかということを試すのもこうした練習試合である。
この日の都立紅葉川は、都立日野には木下君と二塁からマウンドに登った器用な小田君の前に3安打しか放てず、2回に樋口君と濱田君の連続二塁打や暴投と小田君の三塁打などで5点を失い、その後も代打で登場してその後外野に入っていた関口君にもタイムリー打されるなどで8失点。未熟さを露呈した。
しかし、都立総合工科との試合では、旧チームからベンチ入りしていて、エース格として期待されている石田君が、最後はやや貧血気味になりながらも完投。打線も、3番菅原君と6番柳沢君が長打も含めて3安打ずつするなど打線も活発で、都立総合工科に対して成長したところを示した。
都立総合工科は、「都立日野との試合で投げさせたかったが、鳥生の完封で投げる機会がなかった」という伊藤君が8回、9回と投げたが、3人ずつでぴしゃりと押さえた。「やはり、安定感はある」と、弘松監督も、調整は順調にいっているなと感じているようだった。
会場校(第10ブロック)でもある都立総合工科は、抽選によって試合は1回戦不戦勝で15日に共栄学園と自由ケ丘の勝者と対戦ということになっている。都立紅葉川は、8日に桜美林会場(第3ブロック)で國學院との初戦が待っている。
(取材・写真=手束 仁)