智辯和歌山vs明徳義塾
智辯和歌山がビッグイニングで逆転 圧巻の戦いで3回戦へ
細川凌平(智辯和歌山)
前半は静かな攻防となったが、後半は智辯和歌山が1イニング3本塁打と自慢の強打を発揮し、3回戦進出を決めた。この試合で光った両チームの選手を紹介したい。
智辯和歌山の先発・矢田真那斗(2年)が粘り強い投球を見せた。インステップ気味に踏み出して、振りだす左のスリークォーター。常時125キロ~130キロ台のストレートを両サイドに投げ分け、110キロ台のチェンジアップ、カーブを低めに集める投球。
180センチ69キロと細身だが、手足が長く、リリースまでなかなか見えず、一気に腕が出てくる打ちにくさを持っている。
春季大会と比べるとストレートは力強くなっており、低めに決まっており、だいぶ投球内容が良くなった。強豪・明徳義塾相手にも堂々とした投球を見せており、中谷仁監督は「彼の緊張が本当に伝わってきた。その中でも1失点に抑えたことはよく投げた」と称えた。
最速148キロ右腕の小林樹斗、そして最速149キロのエース・池田陽佑が2人控えている中、矢田のような軟投派左腕は貴重だろう。
智辯和歌山戦ではキーマンとして期待された2年生左腕・新地智也も好投を見せた。
名将・馬淵監督も評価する切れのあるストレートは常時125キロ~130キロ前後と決して速くはないのだが、内外角にテンポよく投げ分け、ストレートと同じ軌道から落ちる110キロ台のチェンジアップ、カーブ、スライダーも精度が高く、単打にはできても長打にしにくい投手だ。
何度か走者を背負っても、慌てることなく、自分の間合いで投げて、無得点に抑える粘り強さは見事。6回まで智辯和歌山打線を無失点に抑え、ロースコアに持ち込んでいる。7回表に7点を失ってしまったが、全国レベルの強力打線相手に好投した自信にして、練習に取り組んでほしいし、今回の経験は秋以降の試合でも大いに生きるはずだ。
打者をピックアップすると、7回表勝ち越し3ランを放った2番・細川 凌平は着実に進化を見せている。高めのボールを振りぬいた細川はこれまでボールをとらえる能力が高く、ヒット性の当たりが多かったが、2年生になって打球にも角度が出るようになったことで、逆転のホームランが生まれた。
細川はどの試合を見てもいつでも自分のタイミングで打つことができており、安定してヒットを打てるのも名付ける。
そして二死一塁となったところで5番・根来 塁にも2ランが飛び出す。重心を低くして構えて、力みが入っていない独特の構えから、内角に浮いた変化球をさばいてライトスタンドへ放り込んだ。打てるポイントが広く、広角に打ち分けるバットコントロールが良い根来だが、打った球種は見送ってもボール球。無理に打つ球ではないが、それをホームランにしてしまう根来の技術がずば抜けている。
そして全国屈指の強打の捕手・東妻 純平は1ボール1ストライクからの外角のボールを押し込んでバックスクリーン右に打ち込むホームランで追加点を上げた。東妻も1.9秒台の強肩だけではなく、フレーミング技術も鍛えられている。
そしてエース・池田も150キロを計測。投打ともに恐ろしいほどのパフォーマンスを発揮する智辯和歌山。3回戦の星稜の一戦では名試合が期待が期待できそうだ。
両チームの個人成績表
才能だけではない。スラッガー・来田 涼斗(明石商)の活躍を支える徹底とした事前分析
(記事=河嶋 宗一)