宇部鴻城vs宇和島東
二刀流・岡田が活躍し、宇部鴻城初戦突破 宇和島東も2年生に逸材が集まる
本塁打を放った岡田佑斗(宇部鴻城)※写真=共同通信社
4回に回ってきた第3打席でストレートを振り抜き、ライトスタンドへ運んだ。これが甲子園初安打。インコースは読み通り、綺麗なインサイドアウトのスイングで初アーチとなった。
6回表の第4打席ではインコースストレートを振りぬきライト線を破る長打を放っている。山口大会では打率.304に終わったが、本塁打も、左中間へ鋭い二塁打も放っている岡田。インパクトまで無駄のないスイング軌道から打ち返す打球は強烈だ。
また投げては13安打を打たれながらも3失点12奪三振完投勝利。右スリークォーターから常時130キロ~135キロ前後の直球は空振りが奪えており、「回転数の高さは求めていました。そのため、吉田(輝星)投手の映像を見て参考にすることがありました」と語るように、手元でも失速しない回転数のあるストレートで要所で三振を奪い、スライダー、チェンジアップを丁寧に投げ分ける投球も光った。ストレートの質の高さは魅力だが、13安打打たれているように、ストレートの精度にばらつきがあり、あまり伸びがないボールだと簡単にはじき返されていた。それでも投手を始めたのが6月になってからなので、わずか2か月でここまでまとめる野球センスはさすがといえるだろう。
投打で高い才能を秘める岡田のパフォーマンスがますます見逃せない。
一方、敗れた宇和島東は2年生投手の能力の高さが光る。まず先発の舩田 清志は170センチ61キロと細身だが、右スリークォーターから投げ込む直球は常時130キロ~135キロ前後(最速139キロ)を計測。キレのあるストレートを投げ込んでいるが、少し直球勝負にいきすぎて、6失点を喫したが、来年は愛媛県を代表する右腕として注目したいところ。
さらに2番手としてマウンドに登った和田真虎(まなと)も好投手。180センチ81キロと恵まれた体格から左足をしっかりと上げ、右足に体重を乗せて、振り下ろすフォームから繰り出す直球は常時130キロ前半~自己最速141キロを計測。120キロ前後のスライダー、120キロ前後のスプリット、110キロ前後のチェンジアップを投げ分け、7、8回と無失点に抑えていたが、9回表には高めに浮いたストレートを打たれ、適時打を浴びたが、素質は素晴らしいものはある。来年には常時140キロ台・最速145キロ以上も期待できる素材だろう。和田は入学から20キロほども球速アップに成功。今後に向けて、「今回は3年生の方が自分たちがプレーしやすい環境を整えてくれて、こうして甲子園のマウンドにも立てたので、今度は自分を引っ張る立場になりますが、しっかりと支えて、甲子園に戻っていきたい」と意気込んだ。
また1点目を返す適時打含む3安打を放った赤松 拓海も174センチ90キロの恵まれた体格から振りぬく打球の鋭さは圧巻。来年以降、愛媛県を代表する右のスラッガーとして注目されそうだ。
両チームの個人成績表
(記事=河嶋 宗一)