土浦日大vs常総学院
土浦日大が2年連続4度目の優勝!エース富田卓が6安打1失点完投で常総学院打線を寄せ付けず。
いよいよ茨城の決勝だ。第1シードの常総学院がBシードの土浦日大と対戦する。常総学院の佐々木力監督と土浦日大の小菅勲監督は1984年に取手二が全国制覇した時のメンバー同士だ。
先攻・土浦日大は背番号1の右腕・富田 卓を起用した。富田は準々決勝を9回完投、準決勝は3回途中から救援登板しており三連投となる。一方、後攻・常総学院は背番号11の右腕・塙 雄裕(2年)を起用した。塙は準決勝で9回を完投しており、こちらも連投だ。
疲労具合が心配された両投手だが、富田は1回に最速137キロを、塙は4回に141キロを計測するなど球威の衰えは感じさせない。
試合は常総学院が先制する。2回裏、先頭の6番・二瓶 那弥がセンターオーバーのスリーベースで出塁し、7番・手塚 悠(2年)のショート内野安打で1点を先制する。
リードを許した土浦日大は4回表に逆転する。一死から6番・井上 莞嗣がライト前ヒットで出塁し、連続エラーで満塁とすると、9番・石渡 耀のセンター前ヒットで同点とする。なおも一死満塁から、1番・鈴木健太のライト前ヒットで1点を奪って逆転する。
常総学院はここで2番手に背番号1の右腕・谷田部 健太を投入するが、土浦日大の勢いは止まらない。2番・木原 琉位がレフト前ヒットで2点を追加する。次打者は四球でなおも一死満塁から、4番・小澤 礼嗣が押し出しの四球を選んで5点目。さらに一死満塁の1ボールとなってから、常総学院は2番手に背番号17の左腕・大木島 龍を投入する。しかし、初球がパスボールとなって6点目を献上する。
5回表、土浦日大は先頭の7番・鶴見 恵大(2年)がレフト前ヒットで出塁し、四球とワイルドピッチで二死二、三塁とするが、2番・木原はセカンドゴロに倒れる。
6回表、常総学院は一死から3番手に背番号10の岡田 幹太(2年)を投入し、7回まで打者5人を完全に抑える。岡田は最速140キロを計測する。
8回表、常総学院は4番手に背番号19の右腕・菊地 竜雅(1年)を投入する。
土浦日大は一死から連打で一、二塁のチャンスを作るが、3番・小菅 康太はセカンドフライ。さらにダブルスチールは失敗に終わり追加点を奪えない。菊地竜は最速140キロを計測。
常総学院は4回から8回までスコアリングポジションにランナーを進められない。
9回表、土浦日大は二死から6番・井上がショートの裏に落ちるポテンヒットで二塁まで進むが、7番・鶴見はレフトフライに倒れる。
5点差で迎える9回裏、常総学院は二死から7番・手塚がサード強襲ヒットで出塁し、8番途中出場の草部 真秀が死球でつなぐが、9番代打・鈴木琉偉(2年)はセカンドゴロに倒れゲームセットとなる。
土浦日大が第1シードの常総学院を6対1で下し、二年連続4度目の優勝を果たした。
土浦日大は準々決勝で第2シード明秀学園日立を、準決勝で第3シード霞ヶ浦を、決勝では第1シード常総学院と、実力十分の強打が代名詞のチームからお株を奪う打撃力を見せつけていずれも二桁安打を放って打ち勝った。また、エースの富田卓が準々決勝以降の3試合25イニングを投げて全試合で勝利投手となった。茨城に君臨するいわゆる私学3強を立て続けになぎ倒しての優勝なのだから、非の打ち所がない完璧な優勝だと言えよう。
茨城ではよく「常総学院じゃないと甲子園では勝てない」とか、「常総学院以外は期待できない」という言葉を耳にする。事実、今年の春までは常総学院以外の茨城のチームは2005年夏の藤代以来、甲子園で勝てなかった。しかし今春のセンバツでは明秀学園日立が2勝を挙げたばかりだ。今大会ではセンバツ2勝の明秀学園日立のみならず、秋季関東大会1勝の霞ヶ浦にも、春季関東大会2勝の常総学院にも勝ってその実力の高さを十分に証明できた。あとは甲子園で勝利して呪縛を解くだけだ。甲子園でも気負うことなく土浦日大の実力を発揮してもらいたい。
(文=伊達 康)