試合レポート

常総学院vs下館工

2018.07.22

第1シード常総学院が辛勝。下館工が先制するもホームラン攻勢で逆転許す。

 第1シード常総学院とノーシードの下館工のカード。先行・下館工の先発は背番号13の右腕・口町 凌都、後攻・常総学院の先発は背番号1の右腕で谷田部 健太だ。谷田部は今大会初先発。春季県大会と関東大会では存在感が際立ったが、最近の練習試合では調子を落としている。

 下館工はその谷田部の立ち上がりを攻める。1回表、先頭の杉山 達巳がレフト前ヒットで出塁し、四球と内野のエラーで一死満塁から、5番・谷内 真のライト前ヒットで2点を先制する。

 先制された常総学院はその裏すぐに反撃する。二死から3番・菊田 拡和(2年)がレフトに場外ソロホームランを放ち1点を返す。

 2回表、下館工は先頭の8番・池羽 俊介(2年)が死球で出塁し、送って一死二塁のチャンスを作るが得点には結びつかない。

 2回裏、常総学院が逆転する。
 先頭の6番・藤川 寿真がセンター前ヒットで出塁し、7番・手塚 悠(2年)がレフトに2ランホームランを放って逆転する。

 下館工はここで2番手に背番号11の右腕・金子 顕也を投入する。常総学院は8番・菊地 壮太(2年)がセンター前ヒットを放ち、送って一死二塁のチャンスを作るが4点目は奪えない。

 3回表、下館工は一死から4番・永田 憲行が左中間ツーベースで出塁し、内野ゴロの間に三塁に進むが、7番・野口 竜都は空振り三振に倒れる。

 3回裏、常総学院は二つの四球で二死一、二塁のチャンスを作るが、7番目手塚は見逃し三振に倒れる。

 4回表、下館工は先頭の8番・池羽がレフト線を破るツーベースで無死二塁とするが、9番・金子の送りバントはファーストへの強い当たりとなり進塁できない。なおも一死二塁となるが、1番・杉山、2番・草間 悠晏は共に芯では捉えるがレフトの正面を突くライナーに倒れる。

 4回裏、常総学院は先頭の8番・菊地壮がセンター前ヒットで出塁し、内野ゴロで二塁に進塁する。下館工はここで3番手に背番号1の左腕・大和田 大智にスイッチする。しかし大和田はストライクが入らず二者連続で四球を与えて一死満塁となる。下館工はここで4番手に背番号10の左腕・塚原 智也を投入する。ピッチャーの大和田はライトに、ライトの中山剛史がレフトに、レフトの大島 直樹(2年)がサードに、サードの谷内がショートに、ショートの池羽がセカンドにそれぞれポジションを変える。
 
迎える3番・菊田はセカンドゴロゲッツーに倒れて一死満塁のチャンスを生かせない。


 絶体絶命のピンチを切り抜けた下館工は勢いに乗りたいところだが、5回から登板した常総学院2番手右腕の塙 雄裕(2年)に三者凡退に抑えられる。塙はこの回140キロの速球を連発する。

 5回裏、常総学院は先頭の4番・斉藤 勇人(2年)がセンター前ヒットで出塁し、三遊間の深いゴロと犠牲フライで二死三塁のチャンスを作るが、7番・手塚はショートゴロに倒れる。

 6回表、下館工は連続四球で一死一、二塁のチャンスを作るが、ダブルスチール失敗でチャンスが潰える。

 7回表、下館工は先頭の1番・杉山がファーストへの内野安打で出塁し、送って一死二塁とするが、3番・中山は見逃し三振に、4番・永田はセカンドゴロに倒れる。

 常総学院は6回から8回まで、下館工ショート谷内の好守に何度も阻まれて三者凡退に倒れる。谷内の美技にスタンドは敵味方なく拍手の渦に包まれる。

 1点を追う下館工は9回表、二死から1番・杉山がセンター前ヒットで出塁して望みをつなぐが、2番代打・小林は空振り三振に倒れ試合終了となる。

 第1シードの常総学院下館工に辛くも勝利して準々決勝に進出した。常総学院打線は下館工投手陣の120キロ台のボールを打ちあぐねて決定打が出ず、序盤のホームランで稼いだ1点のリードをなんとか逃げ切った。

 1回に3番の菊田 拡和が放ったレフト場外弾は、低いライナーであっという間に消えていく、推定130メートルの高校生離れした弾道だった。プロのスカウトが何人か確認できたのでよいアピールになっただろう。
 投手陣は先発の谷田部 健太が1回にエラーもあって2失点を喫した。4回を投げて被安打4、与四死球はストレートの四球を含む3個。1回に最速136キロを記録したが、ほとんどのストレートが125キロ前後と、明らかに春の県大会や関東大会で見せた球威とはかけ離れていおり、現状では主戦級で投げる調子ではないことが見てとれた。

 5回から2番手にマウンドに上がった塙 雄裕は最速141キロを計測。5イニングを投げて被安打2、毎回の5奪三振と球威を生かした投球で下館工打線を寄せ付けず反撃の芽を摘んだ。

 下館工常総学院と同じ6本のヒットを放ち、5つの四死球をもらって何度もチャンスを作ったがあと1本が出なかった。


 1点差の好ゲームとなったゆえんは4回途中からショートの守備に入った谷内 真の好守により守り負けなかったところだ。谷内は4回裏途中からポジションをサードからショートに移し、5回以降の12個のアウトのうち7個をショートゴロでアウトにした。それがただの正面のショートゴロではなんとも思わないが、打ったのは強打の常総学院打線だ。強打者・菊田の芯で捉えた三遊間への厳しい当たりや、手塚の放った難しいハーフバウンドを難なく捕球して的確にアウトに仕留めた。4個、5個とショートゴロをさばくうちにスタンドのどよめきは歓声にかわり、7個目をアウトにした時には賞賛の拍手が鳴り止まなかった。

 ノーエラーでしまった試合となり第1シード常総学院を相手に惜しくも敗れた下館工は記憶に残るチームであった。

 

(文=伊達 康

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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