試合レポート

東亜学園vs都立広尾

2018.07.19

東亜学園が2年生投手のリレーで完封勝利!

 2016年夏準優勝の東亜学園都立広尾の対決は1点を争う好勝負となった。ロースコアになったのは都立広尾のエース・嶺太陽(3年)の好投が大きいだろう。173センチ60キロと細身の体型をした右投手だが、実力は都立校の中でもトップクラス。

 1回裏、2番島田 一輝(3年)に本塁打を打たれたが、そのあと、動揺することなく、スコアボードに0を並べた。

 嶺は右スリークォーターから投げ込む直球は常時130キロ~135キロを計測。球速はそれなりに出ているが、それ以上に良いのは変化球だ。125キロ前後のスライダー、スプリットだ。打者の手元で鋭く曲がり、さらに球速もある。嶺と同等の球速を投げる都立高の投手はいるが、これほど変化球の速度があり、精度の高さを誇る右投手はなかなかいない。変化球はほとんどひざ元に決まるので、東亜学園の打線から5回まで6奪三振のピッチング。クイックも1.05秒、フィールディングの動きも軽快で、けん制も鋭い。都立校の投手でここまで完成された投手はなかなかいない。次のステージでも続けるべき投手だろう。

 一方、東亜学園の先発・細野 晴希(2年)も好投。緩急を使ったピッチングがうまい左投手で、球速は120キロ~125キロでも、100キロ前後のカーブ、チェンジアップを巧みに投げ分け、手玉に取るピッチング。素晴らしいのはけん制技術の高さ。なんとこの試合で3つもけん制で走者を刺した。まだ2年生ということでこれからが楽しみな左投手といえるだろう。

 試合は7回裏、東亜学園が敵失で1点を追加。細野は8回まで投げ切り、無失点の好投。9回表から登板したのはエースの斎藤 北斗(2年)。斎藤は右スリークォーターから常時130キロ~135キロ前後の直球、110キロ前後のカーブ、120キロ近いスライダーを投げ込む好右腕。体ができれば、まだまだ速くなりそうな奥行きの良さを持っている。斎藤はしっかりと締めて、完封勝利。東亜学園が3年連続でベスト16入りを決めた。

 東亜学園は守備が実に堅い。内外野ともに鍛えられており、守備から崩れる要素が見当たらない。また、ところどころ機動力を使い、いやらしいチームは今年も健在だ。

 ここまで投手の活躍を取り上げたが2番島田、3番小西莉緒(2年)の2人も楽しみな選手。島田は背番号19をつけているが、なぜ19なのかと思うぐらい攻守でハツラツとした活躍を見せた。1回裏、外角高めのボールを叩いての先制本塁打や、その後も二塁打や角度のあるライトフライと、1つ1つの打球に迫力がある。また守備範囲も広く、脚力もあるアスリート型の外野手。

 また、小西莉は184センチの大型ショート。そつのない動きに加え、深い位置から鋭いスローイングができる強肩が持ち味。盗塁もどんどん仕掛ける選手だが、課題は打撃。上からたたきつけるダウンスイングになっており、今のままでは恵まれたポテンシャルを生かし切れていない。ぜひ一流選手の映像を見ながら、打撃のメカニズムを完成させてほしい。そうすれば東東京屈指のショートと呼ばれる日もそう遠くない。

(レポート=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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