試合レポート

大垣南vs多治見

2018.07.15

9回一死までノーヒットノーランの快投で大垣南が快勝

 

 「あわや、ノーヒットノーランか?」という、大垣南の左腕臼井の好投だった。身体は決して大きくはないが、変化球の制球がよく、右打者に対しては内懐に大きく割れるように入ってくるカーブで追い込んでいき、上手に打たせていく。多治見の各打者としては、早めに追い込まれてしまうだけに、手を出さざるを得なくなってしまい、そこを打たされた形になっていた。何しろ、4回二死まではパーフェクト。その後四球を出したものの、臼井投手は慌てることはなかった。5回、6回は失策の走者も出したものの、まったく変わらない投球リズムだった。このあたり、大澤君のリードもいいのだろうが、臼井君も落ち着いていた。

 

 終わってみれば8回までで三振も8個を奪っていた。それほど、三振奪取をしていく投手というタイプではないのだろうが、早い段階で追い込んでいくことで、有利な投球が出来ることで三振も奪えているのだろう。

 

 4点リードして迎えた9回。多治見は1番小幡からだったが、簡単に遊ゴロで一死。日中の暑さもいくらかは和らいできたスタンドも何となく快記録誕生かという空気にワクワクしているかのようだった。一方、多治見応援席は、1球ごとに悲鳴にも近いような声も上がっている。そんな空気も楽しんでいるかのようにも見えた臼井投手だったが、やはり意識はしていたのだろうか、続く2番加藤には死球。さらに3番三戸にはストレートの四球。未だ無安打だが、点差からは緊張感の高まる展開になってきた。

 

 そして4番藤岡は2ストライクと追い込まれてから、さんざんファウルで粘る。6本ファウルを放ってタイミングも合ってきたのだろうか、ついに左前へ運んでノーヒットノーランを回避しただけではなく、二塁走者も帰って1点を返して、なおも一死一二塁。万が一、本塁打が出たら同点という場面になった。

 

 5番原科の打球は強い投ゴロだったが、併殺とならず二塁で刺したのみで、二死一三塁。続く代打倉谷は四球で満塁。長打で同点という場面で「まだわからないぞ」という状況だったが、大垣南の川本勇監督はここで、二塁手の北村をマウンドへ送り出し、臼井は外野に下がり、布陣が移動した。実は、こうした継投は何度か試みているということで、大垣南の守りは落ち着いていた。最後は遊ゴロで試合終了となった。

 

 大垣南の得点は2回、先頭の4番石川が四球で出て暴投で二塁へ進むと、続く富満も右前打して先制。さらに再び暴投もあって二塁へ進み、加藤源も左前打して四球などもあり二死満塁。一番松永の中前打で2点目を加えた。さらに、5回にも一死一二塁から4番石川の中前打で追加点。

 

 7回も大垣南多治見の2番手今井に対して、松永が三遊間を破って出塁すると、盗塁とバントで一死三塁として大橋の中犠飛で追加点を奪った。こうした、得点の仕方も、大垣南はしっかりとした練習を積んできているのだろうなと思わせるものだった。

 

 結局、大垣南が、昨春には21世紀枠代表として甲子園出場を果たしていた多治見を下した。ちなみに、多治見大垣南・川本監督の初任校だということで、そんな因縁もある試合だった。

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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