順天vs立教池袋
立教池袋9回に追いつくも、順天が延長で好投手戦を制す
この日の神宮外苑は、朝8時30分から[stadium]神宮球場[/stadium]と[stadium]神宮第二球場[/stadium]で合わせて7試合が行われるという日程で、高校野球のてんこ盛りとなっている。早朝にはザーッと強い雨が降って、それは上がったものの湿度が高くなっておりコンディションとしてはひじ用によくない状態でのはげた人工芝の[stadium]神宮第二球場[/stadium]での試合である。何が起こるかわからないぞ、という雰囲気だった。
しかし、順天の背番号10をつけた切原君と、立教池袋の1年生エース犬塚君は、ともに丁寧な投球で、集中力を切らさず、湿度の高い不快感を吹き飛ばしてくれるような好投手戦となった。
先制したのは立教池袋で、初回二死走者なしから3番安田君が右越ソロアーチを放った。切原君としては、少し甘く高めに入ったところだったかもしれないが、それを逃さず寅らえた安田君の集中が見事だったということであろう。
しかし、順天も比較的早い段階で追いつく。
3回の順天は先頭の7番川上君の一打は強い当たりで失策を招く。バントで進め、暴投もあって一死三塁。ここで1番鈴木寛人君が右犠飛を放って同点とした。
その後は、お互いに持ち味を生かした投手戦となった。切原君はスライダーのコントロールもよく、時に抜いたような球も有効に使いながらの縦と横の細かい変化で、大事なところでは三振も奪える。犬塚君は丁寧にアウトコースに球を集めており、順天打線もおっつけて打とうとしてきていたが球のキレ味とイキの良さでも勝っていた。
試合は7回に動いて、この日の順天のラッキーボーイ河上君が二塁打で出ると、バントで三塁へ進む。9番の仲村君は3度のバントの機会をことごとく成功させていた。そして、三塁へ進んでいたからこそ暴投で生還という形になった。このリードをそのまま順天がキープし続けていきそうな感じでもあったのだが、立教池袋も9回執念を見せて、2番福嶋君以下安田君、川手魁星君と3連打で無死満塁。それでも、ここから切原君も踏ん張り、2者を浅い外野飛球で二死となったかと思ったところで、飛び出した二塁走者を刺そうと送球したスキを突いて三塁走者の福嶋君が本塁を陥れて土壇場で同点とした。
試合は延長にもつれ込んだが10回、順天は1番からの好打順で先頭の鈴木寛人君が四球で出ると、バントで二進。渡部君はいい当たりの中飛に倒れたが4番中込君が9回から登板していた立教池袋の2人目高橋君から、右中間へ運んで決勝となる二塁打。その裏も、切原君は二死から1四球こそ与えたものの、スライダーの切れは衰えていなかった。
立教池袋としては、9回に一気にひっくり返してサヨナラと出来なかったことが痛かった。もっとも、それだけ切原君の気持ちが優っていたということが言えるのだろう。
(レポート=手束 仁)