高松東vs石田
これぞ高校野球の原点、高松東・石田が見せた「魂の野球」
延長11回・2時間22分の果てしなき死闘だった。試合中盤までは高松東が主導権を握る展開。2回裏二死二・三塁から相手暴投で先制すると、先発の壷井 真拓(3年・173センチ58キロ・右投左打・三木町立三木中出身)はサイドに近いスリークォーターから120キロ前後のストレート・変化球をコースに散らし、石田打線を6回まで完全に封じた。
しかし、ここから石田は粘りに粘る。130キロを超えるストレートを中心に力投を続ける先発・湯浅 翔太(3年・167センチ66キロ・右投右打・さぬき市立長尾中出身)に応えるべく、7回表先頭打者の1番・松井 夢羽(3年・172センチ58キロ・右投右打・さぬき市立さぬき南中出身)が執念のバント安打で出塁。
さらに一死二塁から3番・藤井 礼(3年主将・捕手・右投左打・176センチ58キロ・さぬき市立長尾中出身)の左前打と相手失策を絡めて同点に追い付くと、延長戦に入った10回表には二死一・三塁から一塁走者が一度飛び出し挟まれる間に三塁走者が生還するスペシャルプレーでついに勝ち越した。
ただ、試合はこれでは終わらない。その裏、高松東は一死三塁から3番・藤澤 謙志(3年・163センチ64キロ・右投左打・高松市立香川第一中出身)の左犠飛で再び2対2とすると、石田が11回二死からの3連打で1点を勝ち越した裏にも二死一・三塁・2ボール2ストライクから途中出場の9番・前田 凛太郎(2年・遊撃手・右投左打・170センチ61キロ・高松市立龍雲中出身)が石田の湯浅が投じた158球目ストレートをおっつけて左中間へ。石田の中堅手は必死のダイビングキャッチを試みるも、打球は歓喜と涙の狭間を探すように、芝生に弾んで、抜けていった……。
13年ぶりの夏1勝が逃げていった石田。奇跡的な逆転サヨナラで琴平が待つ2回戦へ駒を進めた高松東。ただ、この試合に関しては勝敗は二の次である。ただ、あるのは両雄高校野球の原点である「魂の戦い」を見せてくれたということである。
(レポート=寺下 友徳)