試合レポート

都立大田桜台vs青稜

2018.07.09

バッテリーを中心に接戦を制した都立大田桜台が3回戦へ!

 連日強い日差しが降り注ぐ東京。今日も3球場で8試合が行われている東東京大会。[stadium]明大球場[/stadium]では青稜都立大田桜台の2回戦が行われた。試合前にはスタンドの応援団に挨拶をする際に、両校同時に挨拶をしてしまうという、少し微笑ましい出来事が起こる中で試合は始まった。

 都立大田桜台の先発は、右の2年生エース・雨宮空。真っすぐと縦に割れるスライダーを外角中心に集めるピッチングで、打たせて取るのが持ち味。その雨宮は初回、青稜の2番・安田光輝と4番・松本拓也に四球を与えるも、後続のバッターを抑え、無失点で立ち上がる。

 守備でリズムを作った都立大田桜台はその裏の攻撃、雨宮の女房役・和田光太郎青稜先発の大石龍生の3球目を捉えると、打球はレフトへグングン伸びて、そのままスタンドイン。先頭打者ホームランという衝撃の展開で先制点が都立大田桜台に先制点が入る。

 ここで和田のバッティングフォームをよく見ると、ステップする左足がスクエアに出るのではなく、少し開き気味に踏み込む。内角に強いバッティングスタイルと言えるだろう。そのスタイルのところに右サイドハンドの大石の内角に抜けた真っすぐが来たのだから長打になるは必然的だ。しかしスタンドまで運ぶそのパンチ力は、和田が3年間で培ってきたパワーなのだろう。

 和田の先制ホームランで序盤にリードをもらった雨宮だったが、3回に突如崩れる。青稜1番・柴野慎也にライトへヒットを打たれる。続く2番・安田に三塁線ギリギリに転がす絶妙な送りバントを決められ、一死二塁。打席には3番・大石を迎えるが、2球目でバッテリーエラーをしてしまい一死三塁のピンチになる。ここで踏ん張りたかった雨宮だったが、レフトの頭上を越える二塁打を打たれてしまい、同点に追いつかれる。

 この回は全体的にボールがバラついており制球に苦しんでいたが、この劣勢を和田が救う。4番・松本の打席の時に、雨宮のワンバンしたボールを和田が横にこぼしたのを見て大石は三塁を狙う。それを見た和田はすぐさまボールを拾ってサードへ送球し、タッチアウト。ピッチャー・雨宮を救う和田のプレーで、この回は1失点で切り抜ける。

 4回には青稜7番・井深舜也の打球を足に受けるが、自身のピッチングスタイルを貫き、味方の援護を待つ。

 雨宮が待ちに待った援護は5回にやってきた。一死から7番・金澤成悟の放ったフライがショートとレフトの間に落ちる。その打球処理をもたついている間に、金澤は一気に二塁を陥れ、勝ち越しのチャンスを作る。8番・上田飛我は三振に倒れるも、9番・渡部竜成が高めに浮いた真っすぐを左中間まで運ぶ勝ち越し二塁打で、都立大田桜台が再びリードを奪う。


 ここまで競ったゲーム展開となったが、それは後半も続く。
 失点した3回以降から武器のスライダーを軸に投球してきた雨宮は6回、先頭の木内と続く6番・渡辺大聖を四球で歩かせる。7番井深には送りバントを決められ、一死二、三塁のピンチを再び迎える。

 青稜ベンチは8番・松岡倫太朗のところでスクイズを敢行。しかし打球はふらふらとピッチャー前に上がり、雨宮はそれをキャッチして三塁に送球。スクイズのため飛び出していた三塁ランナー・木内は戻り切れずダブルプレー。都立大田桜台は相手のミスにも助けられ、再びピンチを脱する。

 しかし都立大田桜台のピンチはこれだけでは終わらなかった。7回には先頭の9番・斎藤亮介にセンターへヒットを放たれると、続く1番・柴野がエンドランを成功させ、無死一、二塁。三度のピンチ。2番・安田に送りバントを決められ一死二、三塁になるかと思われた。だが、このプレーで三塁を回ったランナーが一気にホームを狙うのを、落ち着いてホームでアウトにして二死二塁に変える。
 その後、2人のランナーを出して二死満塁にするも、5番木内をショートゴロに仕留めてピンチを脱する。

 そのまま試合は進んで最終回の都立大田桜台の守備。残りアウト3つで勝利が見えてきたが、先頭の1番・柴野に三遊間を破られる。同点のランナーが一塁。ここは当然のごとく送りバントを敢行してきた青稜だったが、打球はキャッチャー前。和田はすぐさま打球を捕球し、二塁へ送球しフォースアウト。ピンチの芽をまたも摘んだ。
 そして最後のバッターをライトフライに抑え、試合終了。2対1で都立大田桜台が接戦を制した。

 勝利が決まった瞬間、マウンドの雨宮は大きくガッツポーズをして先輩キャッチャー・和田と真っ先に喜びを分かち合った。この試合、打球が当たるアクシデントに見舞われたがその粘りあるピッチングで勝利に導いた有馬。そしてその有馬をリードした和田の2人の活躍が大きいだろう。

 一方の青稜は、試合後に主将の安田は涙を流していた。先輩方のこの姿を目に焼き付け、後輩たちが101回目の夏にどんな活躍をするのか。今後も見守っていきたい。

(レポート=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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