試合レポート

都立大島vs都立大森

2018.07.07

伊豆大島が生んだ怪腕 荒田 奏斗が2安打完封!

 伊豆大島にある都立大島。過去には2006年にベスト8、2011年にベスト16、2014年秋はベスト16に入るなど、健闘を見せる都立大島に、
「伊豆大島が生んだ怪腕」
というフレーズがぴったりな投手が現れた。その名は荒田 奏斗(2年・177センチ73キロ)。地元の大島一中の2年生エースだ。荒田は投球フォームからして特徴的だ。左足を上げたときから右腕を折りたたむようにしてテークバックを取っており、打者から出どころを隠すようにテークバックをとって、体重移動に入り鋭く腕を振っていく。独特な動作をしているが、フォーム一連の動作は安定しており、無駄な力を入れずにぴゅっとボールを投げることができる。

 立ち上がりからいきなり常時133キロ~136キロのストレートを投げ込み、さらに120キロ台のスライダー、90キロ台のカーブを織り交ぜ、無失点に切り抜けた。

 一方、打線も1回裏、女房役の3番諸田啓人(3年)の犠飛で先制、2回裏には敵失で1点を追加すると、3回裏には荒田が安打で出塁し、二死二、三塁のチャンスを作るも、荒田が挟まれるボーンヘッド。しかし、バックホームの送球が逸れて、荒田は捕手のタッチをかいくぐるようにヘッドスライディング。セーフとなり、3点目のホームを踏む。ヘッドスライディングを試みた荒田のユニフォームは真っ黒。そのままマウンドに登り、135キロ前後のストレートを投げ込んで、無失点に抑えてしまう。まさに野球小僧という表現がぴったりな選手である。

 4回裏、都立大島の2番山住魁斗(2年)の適時二塁打でさらに1点を追加し、4対0と点差を広げる。

 荒田は3回表に計測した最速138キロのストレートを軸に都立大森打線を封じる快投。ストレートの勢いもあるが、変化球の制球力も高く、1.15秒前後を計測するクイック、フィールディング、けん制動作を見ても非常に鍛えられており、ただ速いだけの投手ではないところを見せた。

 しかし7回表、荒田にアクシデント。マウンドに登る直前に、足をつってしまい、いったん治療へ。マウンドに登ると、都立大島スタンドから温かい拍手が送られる。荒田は7回表、無失点に抑えるとその裏、力投に応えるように打線が奮起。

 敵失で無死二塁のチャンスを作ると、3番諸田の適時二塁打、4番中川拓人(3年)の左中間を破る適時二塁打で6対0と点差を広げ、5番荒田の犠打で一死三塁のチャンス。そして6番前田光春(3年)の犠飛で7対0と7回コールド勝ちで都立大島が2回戦進出を決めた。

 都立大島は2安打完封に抑えた荒田の総合力の高さ、精神力の強さは今年の東京都の2年生右腕の中でもトップレベルと推せる実力はある。今年の東京都の1、2年生は、12月に行われるキューバ遠征に参加するU-17代表の選考対象となっている。このまま実力を伸ばして、代表候補に名を連ねる投手になるのか注目したい。

 また都立大島は11人しかいないチームながらどの選手も強くバットが振れており、打球が非常に鋭い。守備も内外野ともに球際で強く、破綻なく守り続け、荒田の好投を引き立てていた。

 この春は部員が足りず、不参加と悔しい想いをした2、3年生。試合ができる喜びをエネルギーにして、快進撃を続けていきたい。

 (レポート=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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