試合レポート

市立呉vs瀬戸内

2018.04.16

市立呉が選抜出場の瀬戸内を下し二回戦突破!

市立呉vs瀬戸内 | 高校野球ドットコム
浴本一樹(瀬戸内3年)

 14日開幕の春季高校野球広島大会2日目。二回戦が行われた。

 中でも注目カードの選抜帰りである瀬戸内と、前年選抜で一勝を挙げた市立呉の試合が厚い雲に覆われた三次運動公園野球場で行われた。
 
ともに全国を舞台に戦った両校の一戦は市立呉に軍配が上がった。

 

 先手を取ったのは市立呉。一回、一番の今井 李空(3年)がショートゴロに倒れたものの、二番の金谷 亮(3年)がレフトを大きく超える三塁打を放ち初回から得点のチャンスを作る。

 

 続く三番西岡 祐希のショートゴロの間に勇猛果敢に本塁を陥れようとするが、瀬戸内のキャプテン、ショートの新保 利於(3年)がそれを冷静にさばき、クロスプレー。アウトにはなったものの、市立呉は試合の流れを引き寄せた。試合序盤、まだまだ地に足のついていない瀬戸内のエース浴本 一樹(3年)は、四番菊池 史恩(3年)に四球、そして五番の浜元 太聖(3年)にはこれもまたレフトを超える長打を撃たれ先制点を許してしまう。

 

 

 先制点を許し、一刻も追いつきたい瀬戸内だが、市立呉先発の沼田 仁(2年)をなかなか捕まえることが出来ない。一回表は三者凡退。二回表も、先頭打者プロ注目の四番門叶 直己がレフトオーバー二塁打、その後五番浴本の送りバント一死三塁、同点のチャンスを作ったが、後続の七番加藤 悠史(3年)が三振、八番吉田 相輝(3年)がサードフライと生かすことが出来なかった。

 

 

 市立呉は五回裏、一死から一番の今井が四球で出塁すると、初回の攻撃で三塁打を放ちチャンスメークした金谷がまたもレフト頭上を越える二塁打を放ち、続く三番西岡も左中間を破るライナーを放って二点を追加し、選抜出場校の瀬戸内を突き離した。

 


市立呉vs瀬戸内 | 高校野球ドットコム
激を飛ばす浜元太聖(市立呉3年)

 

 このまま終わるわけにはいかない瀬戸内だったが、のらりくらりとコースを突く沼田の前に如何せん攻略の糸口を掴めずにいた。四回表に浴本がピッチャー強襲のヒットを放つも、沼田の冷静なピッチングの前に後続がたたれ、六回表より沼田からマウンドを託された二番手、エースナンバーを背負った中田 光希(3年)の気力全開の速球を最後までとらえることが出来なかった。

 

 

 瀬戸内は終始淡白な攻撃だった。のらりくらりとした投球をつづけた沼田をつかまえることがないまま、六回表から登板した中田の、気迫を前面に押し出した投球の前に最後まで反撃の糸口を見つけることが出来なかった。

 
 

 両校ともに過去選抜に出た際のメンバーがそろっている。大きな舞台でしり込みすることはないはずだったが、瀬戸内は淡白に打ち取られ続けた。四回、五回、六回と連続で三者凡退に終わり、注目されていた門叶も一回表の二塁打以降は凡退に終わった。むろん勝ち気に満ちていたのは間違いないが、市立呉の選手たちの前には気迫や姿勢で一歩劣っていたように思う。

 

 

 市立呉は気持ちが前面に出ていた。相手が私立校で強豪であると、公立校の野球部というのはなんとなく気後れしてしまうものだが、市立呉は逆に、勝ってみせようという前向きな気迫にあふれていた。スイッチした中田が、最後まで気合の声を忘れずに投げ続けたのも、その姿勢のあらわれだし、再三勇敢な走塁をつづけた金谷やマスクをかぶりながらも守備に就く選手たちに叱咤し続けた浜元に至るまで誰しもが最後の最後まで緊張を崩さず、声をかけあって激励をつづけていた。こうした点は、最近では根性論と言われ、ナンセンスの一言で片づけられてしまうかもしれないが声をかけあい、最後まで緊張の糸を切らさなかった市立呉は素晴らしかった。

 

 

 この試合最後の打者になったのは浴本だった。最後はマウンドを譲り野手として出場していたが、彼もまた選抜で甲子園のマウンドを踏んだ投手。この負けを必ず前向きにとらえ夏に向けて、走り出すはずだ。この悔しさをばねにして夏にまた、栄光のマウンドを勝ち取ってほしいと思う。

 

(取材・写真= 編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!