試合レポート

大阪桐蔭vs花巻東

2018.03.31

大阪桐蔭打線爆発!19得点をあげ快勝!

 第90回選抜高等学校野球大会の10日目。準々決勝の第3試合は、2回戦で20安打、3回戦では12安打と2試合連続で2ケタ安打を記録している強打の大阪桐蔭(大阪)と、3回戦の彦根東戦は9回までノーヒットに抑えられたもの延長10回に2安打を集中してサヨナラ勝ちを収めるなど、ここまで接戦を制してきた花巻東(岩手)が対戦した。

 1回表、花巻東は大阪桐蔭の先発・柿木 蓮(3年)の立ち上がりを攻め、先頭の中森 至(2年)が高めのストレートを左前打。2番・谷 直哉(3年)はバントシフトを敷いた大阪桐蔭の裏をかき、初球からバスターを仕掛けて三遊間を破るヒットを放ち、いきなり無死一二塁のチャンスを作る。しかし、3番・阿部 剛士(3年)は初球のスライダーに対し、送りバントを空振り。二塁走者がキャッチャーからの牽制球で刺されてしまった。
 それでも花巻東は揺さぶりをかけ続け、投球前に一塁走者がスタートすると、気付いた柿木は二塁へボールを送るが悪送球。そして、阿部はレフト前ヒットを放ち一死一三塁とする。だが、4番・紺野 留斗(3年)はインローのスライダーで見逃し三振。続く上戸鎖 飛龍(3年)の打席では一塁走者が盗塁し、二死二三塁とさらにプレッシャーをかけるが、上戸鎖はフルカウントから低めに落ちる縦のスライダーで空振り三振に仕留められ、得点を挙げることができなかった。

 逆に1回裏の大阪桐蔭は花巻東の左腕・田中 大樹(3年)に対し、四球と送りバントで一死二塁とすると、中川 卓也(3年)がレフトフェンス直撃の適時二塁打を放って先制。さらに相手エラーで一三塁とし、5番・根尾 昂(3年)が打ち上げた打球は二塁手の後方に落ちるタイムリー。山田 健太(3年)もライト前ヒットで続くと、石川 瑞貴(3年)は1ボール1ストライクからの3球目にスクイズと、お返しとばかりに意表を突く攻撃でこの回4点を挙げた。

 さらに大阪桐蔭は2回裏、代わった西舘 勇陽(2年)から、柿木がライトオーバーのスリーベース。宮崎 仁斗(3年)が一塁線を抜いて追加点を挙げると、なおも根尾の左中間二塁打や石川のレフトオーバーのツーベースなどで5点を加え、9対0と序盤で大量リードを奪った。

 その後も攻撃の手を緩めることがない大阪桐蔭。4回裏には藤原 恭大(3年)と山田のタイムリーで2点。5回裏には宮崎、青地 斗舞(3年)、中川、藤原の4連打で3点。終盤には代打で起用した俵藤 夏冴(3年)や宮本 涼太(2年)にもタイムリーが出て、終わってみれば17安打19得点。守っては、先発の柿木から横川 凱(3年)、森本 昂佑(3年)と2人の左腕につないで零封し、19対0で大阪桐蔭が花巻東を下してベスト8に進出した。

 序盤で完全に流れを失ってしまった花巻東は、3回以降の7イニングでわずか2安打。7回表は一死から四球で出塁した走者が牽制球で誘い出されてタッチアウト。その後、田中のヒットと四球で一二塁としたが藤森 晃希(3年)はピッチャーゴロで得点ならず、ちぐはぐな攻撃が目立った。
 しかし、惜しむらくは3安打に2盗塁を絡めながら無得点に終わってしまった初回の攻撃。押せ押せのムードだっただけに1点でも先行できていれば、その後の展開も変わっていただろう。ただ、バスターという奇襲を決め、盗塁はもちろん塁に出た各走者がリードをとりながら左右に動き、ピッチャーにプレッシャーを与えようとするなど、王者・大阪桐蔭に対し、なんとか攻略しようとする気概は見せた。

 大阪桐蔭は花巻東の軟投派・田中に対し、強引に振り回すのではなく、コースに逆らわずセンター中心に逆方向へ打つバッティングを徹底したことが奏功した。二番手の西舘にも、得意のフォークを最後まで見極めてボール球に手を出さず、甘く入ってきたボールを確実に打ち返していった。
 結局、17安打のうちセンターから逆方向へ打ったヒットは半分以上の9本に及ぶなど、この試合で9本の長打を生んだ豪快な攻撃の裏側には基本に忠実なバッティングがあった。

(文=大平 明

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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