星稜vs近江
第90回選抜高等学校野球大会10日目。ベスト8進出最後の枠をかけた第4試合は、2回戦で松山聖陵(愛媛)を破った近江(滋賀)と2回戦で富島(宮崎)を破った星稜(石川)が激突。
1回表、近江は一死一、二塁から4番・北村 恵吾(3年)の左前適時打で1点を先制。続く5番瀬川 将季(3年)も右前適時打を放ち、幸先よく2点を先制。さらに6回表、木村 龍之介(3年)の適時三塁打で3対0と試合を優位に進める。だが6回裏、[team]星稜[/team]は3失点直後にリリーフ登板した奥川 恭伸(2年)の2点適時打と9番佐々井 光希(3年)の犠飛で同点に追いついた。
試合はその後、近江・金城 登耶(3年)、星稜・奥川の2番手投手同士が踏ん張り延長戦へ。そして10回表、近江が無死二塁の絶好機を活かせなかったのに対し、その裏、星稜は二死一塁の場面で奥川が左中間を破るサヨナラ二塁打。星稜が1995年以来となるベスト8進出を決めた。
なお、準々決勝に進出した星稜は大会10日目・第4試合で三重(三重)と対決する。
星稜・奥川 恭伸「大活躍」の理由
6回表まで3対0。完全なる近江ペースで進んだ中盤までの流れを一変させたのは星稜の2番手・奥川 恭伸(2年)である。2016年には地元のかほく市立宇ノ気中で第38回全国中学校野球大会初優勝を達成した右腕は、中学時代に培った力配分を心掛けた投球でまるで先発投手のように近江打線へと立ち向かった。
では、彼の投球内容を振り返ってみよう。ストレートは打者によって130キロ前半と130キロ後半を使い分け。130キロ前後のフォークを織り交ぜながら、初戦の松山聖陵戦で13安打8得点を記録した近江打線を4回3分2・72球1安打2奪三振4四死球無失点に封じてみせた。
そして延長10回表二死二塁で2番・中尾 雄斗(3年)を迎えた場面では、この日最速となる最速143キロを計測。ピンチで底力を出せる辺りは並みの2年生ではない。
加えて奥川は打撃でも魅せた。6回裏には無死二・三塁から右前2点適時打を打ち、同点への布石を打つと、延長10回裏二死一塁からは近江の2番手左腕・金城 登耶(3年)の高めへ抜けた変化球を見逃さず。左中間を深々と破るサヨナラ二塁打。となり、投打両面の活躍で、星稜23年ぶりのベスト8を手繰り寄せた。
かくして星稜史上初となるセンバツベスト4進出には絶対に欠かせない存在となった奥川。準々決勝・三重戦(三重)での起用法はリリーフか?それとも先発か?林 和成監督の決断含め注目だ。
(文=河嶋 宗一)