創成館vs下関国際
創成館、センバツ初勝利!下関国際との接戦制す
第90回選抜高等学校野球大会の4日目。第1試合はセンバツ初出場ながら、昨夏に続き2季連続出場を果たした下関国際(山口)と、4年ぶり3度目の出場でセンバツ初勝利を狙う創成館(長崎)が対戦した。
昨夏の甲子園を経験したメンバーが7人残り、昨秋は1試合平均9.2得点を挙げた下関国際と、エース・川原 陸(3年)を中心に多彩な投手陣を誇り、明治神宮大会で準優勝した創成館の一戦。
1回裏、創成館は1番・峯 圭汰(3年)が外寄り高めの真っ直ぐを強く叩いて左中間を破るツーベースを放つと、続く藤 優璃(3年)も外寄りの真っ直ぐにバットを上手く合わせて左中間へ適時二塁打。
わずか6球で、鮮やかに先制した。さらに、創成館はエラーなどで一死一三塁とチャンスを拡大すると5番・松浪 基(3年)は一塁走者との間でヒットエンドラン。打球は緩いサードゴロとなって三塁走者が生還した。稙田 龍生監督は以前、「甲子園で初回に1点を取ってもすぐに追いつかれてしまう。だから、ノーアウトで走者が出てもバントをせずに2点以上を狙っていく」と話していたが、2番打者・藤の強攻策が決まり、思惑通りの2点を奪った。
下関国際は2回表、5番・川上 顕寛(3年)がレフト前ヒット。続く6番・木村 大輝(2年)もレフトへヒットを放ち、この連打をきっかけに一死一三塁とすると、品川 優人(3年)が1ボールからの2球目にセーフティースクイズを決め、すぐに1点を返した。
中盤は両投手が好投。創成館の左腕・川原は5回表に二死一三塁のピンチを招くも、3番・吉村 英也をライトフライ。ストレートの球速は130km/h前後ながらもキレがあり、3回以降の4イニングを1安打に抑えた。下関国際の鶴田 克樹(3年)もMAX145km/hのストレートとスライダーを早いテンポで投げ込み、走者を許しながらもあと1本を許さない。
[page_break:]そして7回表、創成館は継投に入り、この回から二番手の伊藤 大和(3年)をマウンドへ送るが、先頭打者の品川を四球で歩かせてしまい、二死二塁のピンチ。ここで下関国際の2番・甲山 達也(3年)は外角のスライダーを捉えて一二塁間を破るヒット。二塁走者の俊足・浜松 晴天(3年)は一気にホームを狙いクロスプレーとなったが、右翼手・松山 隆一(3年)の好返球でタッチアウト。同点のチャンスを逃してしまった。
逆に創成館はその裏、この回先頭の徳吉 涼太(3年)が追い込まれながらもノーステップ打法で12球を投げさせる粘りを見せる。結局、三振に倒れたが、続く峯が左中間を深々と破るスリーベースを放つと、藤がレフトへ犠牲フライ。徳吉がつくった流れを1、2番コンビが生かし貴重な追加点を挙げた。
粘る下関国際は9回表、一死から死球と9番・佐本 快(2年)、1番・浜松の連打で満塁。ここでバッターボックスには前の打席でヒットを打っている甲山が入るが、カウント2ボール1ストライクからインコースのストレートに差し込まれサードゴロ。三塁手の杉原 健介(3年)はホームに送球してフォースアウト。さらにキャッチャーの平松 大輝(3年)は一塁へ転送してブルプレー。甲山のヘッドスライディングも及ばず試合終了となり、3対1で創成館が下関国際を振り切った。
勝負どころとなった場面を振り返ると、7回裏の下関国際・鶴田は一死三塁という外野フライも許されない場面で高めにボールが浮いてしまい、楽々と犠飛を打ち上げられしまった。それに対し、創成館の伊藤は9回裏、一死満塁という絶体絶命のピンチでインコースにシュート気味のストレート。ボールはキャッチャーが構えた位置からさらに内角へ食い込み、見事、併殺打に打ち取った。このように試合を決めるポイントとなったのは、ここぞという場面でのわずかなコントロールの差だった。
(文=大平 明)