日大桜丘vs安田学園
日大桜丘、キーマンの復活と新エースの粘投の活躍で安田学園に粘り勝ち!
林勇介(日大桜丘)
安田学園vs日大桜丘。
一次予選から強豪校同士の対戦が実現。試合は最後まで手に汗握るものとなった。
先手をとったのは、安田学園。3回表、一死から二、三塁から4番森 一光が放った痛烈な二ゴロ内野安打。この間に2点を先制する。しかし日大桜丘もその裏に反撃開始。
一死から日大桜丘の佐伯雄一監督が「このチームの中心選手」と期待する1番林 勇介が打席に立った。第1打席は空振り三振だったが、第2打席では「監督の佐伯先生が高めは捨てなさいと指示が出ていたので、自分が打てるストレートを狙いました」と言葉通り、甘く入った直球を見逃さず二塁打。佐伯監督お「彼が打つと勢いづくだけに、この一打は大きかった」と評価。林は塁上で大きくガッツポーズ。その後、2番石田 壮一郎の内野安打で一、三塁とチャンスを広げると、3番平元 太規の遊撃内野安打で1点を返すと、その後、満塁のチャンスから5番鈴木 達弥の犠飛の間で同点に追いつく。
佐伯監督の言葉通り、林の一打でチームは勢いづいた。林は175センチ65キロの巧打の二塁手。昨夏の国学院久我山戦では、先頭打者本塁打を放つなど、打撃の潜在能力は非常に高く、スタンスを大きく広げた構えから、空振り三振を恐れない豪快なスイングから鋭い打球を連発。さらに持ち替えの速さと切り返しが速い二塁守備が光る選手だ。グラウンド上で存在感を示している林だが、実は昨年の11月に、金属バットが顔に直撃する大けがを患い、長い入院生活を送っている。3月の復帰も厳しいケガだったようだが、「絶対に復帰したかった」と強い決意で、リハビリに励んできた。そしてチームメイトも驚くほどの回復力でグラウンドに復帰したのであった。
頼りになる核弾頭の復活で、日大桜丘は一歩踏みとどまった。
3番キャッチャー・須藤京介(安田学園)
投げては渡邊 健太が好投。秋まではベンチ外だった投手だったが、この冬で変わりたいと一念発起し、毎朝5時~5時半には起床し、誰よりも早く登校した後は1時間の個人練習で下半身、上半身を鍛えるトレーニングを行い、球威をあげてきた。また縦に大きく鋭く落ちるスライダーをマスター。投球の幅を広げ、対外試合でも好投を続け、背番号1を獲得した。渡邊は要所で打たせて取り、ゲームメイクをしていく。
しかし7回表、二死二塁から安田学園の3番須藤 京介の左横線二塁打で勝ち越すと、さらに4番森の左前安打で4対2と勝ち越す。だが、その裏、日大桜丘も粘り、二死二、三塁から7番太田 峻祐の左中間を破る二塁打で同点に。そして8回裏、代打・中泉健太朗の左前安打からチャンスを作ると、その後、無死満塁から3番平尾の内野安打、4番岡崎 剛毅の2点適時打などで計5点を入れる猛攻を見せ、9対4とリードを広げる。
9回表、日大桜丘は2番手に秋まで背番号「1」を背負っていた小澤由宇が登板。小澤は回転の良いストレートで安田学園打線を退け、代表決定戦進出を決めた。
まさに粘り勝ち。佐伯監督は「選手たちは一次予選で敗れた悔しさをばねにここまでやってきました。その頑張りが形となって現れました」と選手の戦いをたたえた。日大桜丘ナインがプレーする上で胸に刻んでいた言葉は「気志皆勢」。これはチームスローガンだが、苦しい時には必ず思い浮かべているという。それがここ一番の粘り強さにつながっている。
安田学園は、3番須藤、4番森を中心に打力が高い選手が揃ったチーム。特に4番森は左打席から放たれる打球の鋭さ、打球速度は鋭く、都大会に進出するチームのクリーンナップと比較しても、優れた打者だった。
(取材・写真=河嶋宗一)