試合レポート

静岡vs日本航空石川

2017.11.12

前半でリードを奪った静岡がそのまま逃げ切る

静岡vs日本航空石川 | 高校野球ドットコム
ハイタッチ(静岡)

【写真ギャラリー追加!】

 2年連続の4回目になる明治神宮大会出場の静岡だが、新チームスタート当初は昨年のチームに比べると攻守にやや粒が小さくなったといわれていた。しかし、秋季県大会中部地区予選から県大会、そして東海大会と戦っていくうちに、結果を出しながらチームそのものが逞しくなっているようだ。そんなチームの姿を、神宮球場で全国のファンの前でも見事に示してみせた。

 1回戦で日大三に9回に追いつかれながらも、タイブレークの末に下した日本航空石川は、勢いに乗っている。ことに原田君、石川君と小板君というこの夏の甲子園の経験もある力のある打者を擁するだけに、このチームは十分力がある。初戦では、そんな自信も示すことにもなった。

 しかし、静岡はそんな日本航空石川の勢いをすっぱりと止めるかのように、前半で大きくリードを奪っていった。

 初回、静岡は先頭のシュアな打者村松君がまずは遊撃深いところへ内野安打。すかさず二盗を決めると、3番黒岩君が左翼線を破る二塁打で帰して先制。さらに暴投で三塁へ進むと、成瀬君の右前打で帰って2点目。

 2回にも二死走者なしから9番加茂君が中前打で出ると二塁盗塁を決めて、村松君が一二塁間を破って帰して早くも3点リードとなった。

 さらに4回にも静岡は、加茂君の四球と村松君の3打席連続となる安打で一三塁とする。ここで、日本航空石川の中村隆監督は、先発の重吉君に見切りをつけて2番手として、1回戦でも踏ん張った大橋君を投入したが、一塁ゴロの間に三走が帰って4点目が入った。



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先発・重吉翼(日本航空石川)

 静岡は6回にも、連続四球と黒岩君の幸運なポテン安打などで一死満塁として、4番成瀬君が会心の右前打で2者を迎え入れてリードを6点と広げた。

 5回まで安打こそ許しながらも、静岡のエース春君も安定した投球をしていた。6回に、死球の原田君を二塁に進めて、5番長谷川君が中前打して何とか1点を返した。しかし、7回8回も安打が出ながらもいずれも併殺で得点することが出来なかった。「併殺は、それほど気にしないでいく」という、強打を誇る日本航空石川ではある。しかし、なかなか安打が繋がらないという感じでややもどかしいところでもあったであろう。

 それでも9回、6番の小板君以下、山岡君、途中から出場していた夏川君、そして代打井川君と下位の4連打で2者を帰してなおも無死一二塁。たちまち、一発同点という場面を迎えた。結局、2番小坂君の左犠飛であと1点加えるにとどまってしまったが、最後に強力打線の面目を示したのは意地だった。

 また、春君は追い上げられはしたものの、リードもあって得点差を頭に入れた冷静な投球で慌てることもなく、冷静に打たせて取っていき、何とか逃げ切った。

 静岡の栗林俊輔監督は、「春は、粘り強く最後まで自分の投球をしてくれた。リードは黒岩に任せていたが、いいリズムで投げられた」とバッテリーの冷静さを評価していた。また、打線に関しては「村松はずっと好調だし、成瀬もここへ来て当たりがよくなっていたので期待していた。それぞれが自分の役割に応じてやってくれている」と、秋のチームらしく試合ごと、大会ごとに成長していく感じにある程度の満足を得ているようでもあった。

 日本航空石川の中村監督は、「ヒットはある程度打てたけれども繋がりませんでした。安打を点数にどう絡めていかれるのかというところが、これから来春へ向けての課題になっていきます。それに投手はまだまだ成長してほしい」と、この大会を通じて見えてきた課題に対しての取り組みがこの冬のテーマとなっていくようだ。

(文=手束 仁
(撮影:img028… 佐藤純一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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