明徳義塾vs高知
明徳義塾・市川 悠太2018侍ジャパンU-18入りへ「はじめの一歩」
表彰式後、ダイヤモンドを一周する明徳義塾
「1位校が絶対に有利」と言い切った明徳義塾・馬淵 史郎監督に対し、「四国大会を見据えて試したいことがあった」と明かした高知・島田 達二監督。両校の決勝戦におけるビジョン差がそのまま出た試合内容であった。
明徳義塾は1回裏、今大会初登板となった高知の1年生左腕・森 聡希(左投左打・171センチ87キロ・琴平町立琴平中<香川>出身)から二死一・三塁とすると5番・渡部 颯太(2年・中堅手・右投左打・178センチ78キロ・今治中央ボーイズ<愛媛>出身)が「打った瞬間に手ごたえがあった」右中間最深部への高校通算3号、大会第2号3ランで先制。「今治中央ボーイズで一緒、僕よりすごい選手だった俵藤(夏冴・2年・遊撃手)が大阪桐蔭で秋季大阪府大会で背番号「15」を付けていることは刺激になっているし、自分もがんばろうと思う」意気込みを腰の据わった素晴らしいスイングで示した。
その後も明徳義塾は2回裏一死一・三塁からスタメン三塁手を張ったセンバツ以後不振を囲い、ようやく新チームで浮上を果たした2番・田中 闘(2年・右投左打・171センチ63キロ・橿原磯城リトルシニア<奈良>出身)が中犠飛。3回裏も二死三塁から8番・市川 悠太(2年・投手・右投右打・184センチ73キロ・高知市立潮江中出身)が三遊間を破る適時打を放って3イニング5得点。高校通算22本塁打の4番・谷合 悠斗(2年・左翼手・右投右打・179センチ81キロ・岡山メッツ<ヤングリーグ>出身)が3打数ノーヒットに終わった中でも得点を奪取法の一端を示している。
9回裏に自己最速・四国2年生最速タイの145キロを出した明徳義塾・市川 悠太(2年)
対する高知は2番手の端中 彪(2年・172センチ63キロ・右投右打・貝塚ヤング<大阪・ヤングリーグ>出身)が4回3分の1を9奪三振1失点、3番手の中屋 友那(2年・179センチ71キロ・右投左打・高知中出身)も2回無失点と好投したことは収穫ながら、打線は散発6安打3四死球。13三振。得点は暴投の1点のみと課題が残った。
ただ、それは裏を返せば134球完投勝利を決めた明徳義塾サイドハンド・市川の投球が素晴らしかったということでもある。この日は馬淵監督いわく「ワンパターン」の配球で終盤に痛打を浴び続けた準決勝・高知商戦の反省を踏まえ「力を抜き、右脚を割れるように投げる」ことだけを意識。結果、彼の持ち味であるスライダーもよくキレた上に「準決勝に比べて明らかに余力があった」9回表には丸亀・東山 玲士(2年・右投右打・172センチ72キロ・坂出市立坂出中出身)に並ぶ今季四国地区2年生最速タイ、自己最速となる145キロもマークしてみせた。
「スプリットのような縦変化をもう1種類投げたい。優勝して神宮に行きたいです」と試合後、来る四国大会への抱負を語った市川。もし、彼がその青写真を体現でき、この年代では稀有な「140キロ超えサイドハンドエース」としてセンバツ出場を果たせたとしたならば……。2018年、彼自身も目標の1つに置いている「侍ジャパンU-18代表入り」は、にわかに現実味を帯びることになる。
(レポート=寺下 友徳)
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