松戸国際vs市立松戸

サヨナラを喜ぶ松戸国際ナイン

　雨で1日順延された松戸対決の試合。台風一過、からりと晴れあがったものの、いくらか風が強く舞う中で行われた。それでも、そんな風に影響されることなく、1点を巡る攻防となり、それぞれの投手が持ち味を出して、今の時期としては内容のある、好投手戦となった。

　市立松戸の右サイドの渡邊恒星君はスライダーのキレも制球もよく、4回を終えて一人の走者も出していないという完璧な内容だった。しかし、5回に先頭打者を四球で出すと、6番浅海太洋君に初安打を許して一死満塁となった。しかし、ここは渡邊君がよく踏ん張って、右飛で突っ込んだ三塁走者を佐藤光君が好返球で刺すなど守りも好プレーが出て0を続けた。

　もっとも、市立松戸打線も松戸国際の長部那央君を攻略できず、5回まで2安打。しびれを切らした市立松戸の飯田智市監督は6回の渡邊君の打順で代打を送る。飯田監督としては、「5回の四球の出し方もよくなかったですし、継投は元々考えていたこと」ということで、迷いはなかったという。しかし、ベンチのアクションも届かず、試合は0行進となった。

　市立松戸は2番手としてエースナンバーを背負った左腕の物江啓佑君を送り出すが、物江君もタテの変化球を武器に、きっちりと投げていく。また、右翼手の佐藤光君や三塁手五関君などの好守も光って投手戦を盛り上げる。こうなってくると、いよいよ1点勝負という雰囲気になってくる。

　8回、その1点が市立松戸に入る。
　この回、8番に入っていた先頭の物江君が四球で出ると、バントで進み、四球後もう一度バントで進めて二死二、三塁。ここで、3番小倉君だが、振り回すことなくミートを心がけて、右前へバチンとはじき返して、これがタイムリー打となった。ついに均衡が破られた。しかし、続いて本塁を狙った二塁走者は若林君の好返球もあって本塁タッチアウト。

　それでも、貴重な1点入った。さらに、市立松戸は9回にも先頭の4番野崎君が左越二塁打すると、バントで進めて一死三塁。絶好の追加点のチャンスとなった。試合の流れから言っても、ここで1点を追加すれば大きく市立松戸に傾いていくことになる。

　ところが、ここで松戸国際の長部君もよく踏ん張る。市立松戸は6番久保君がボール2の後に思い切って振って行ったが、ややひっかけ気味になってしまって三塁ゴロ。本塁を狙った三走が本塁で刺された。続く、神原君が右前打しただけに悔やまれる場面でもあった。

　それでも、1点リードで何とか逃げ切れればというのが、市立松戸ベンチだったであろう。

　9回裏の松戸国際は1番からの好打順。ここまで、やや消極的になっていた打線だったが、高橋良平監督は「打てなくて負けたなら、オレが責任とるから、初球から思い切っていけ」という指示を与えたが、それに応えて山﨑雄大君は左中間へ二塁打。続く、坂本君も初球を送りバント、これが巧みに転がり市立松戸も足を取られて内野安打となり無死一、三塁。こうなったら勢いは止まらない。ここまで3三振だった加藤愛志君も「ここでオマエが決めてこい」と送り出されて、初球を叩く。打球は右翼手の頭上を破っていき、二者が生還して、あまりにも鮮やかな逆転サヨナラとなった。9回わずか3球で決めた、勢いに乗った攻撃だった。

　3年前の秋季県大会では準優勝を果たして関東大会にも進出した実績もある松戸国際。その後を石井忠道前監督（現敬愛大監督）から引き継いだ高橋監督は、「いいチームの土壌が出来ていたものを引き継がせていただいていますから、責任も大きいと思います。投手が、ある程度は投げられると思っていますから、このチームに賭けています」と、この秋のチームの仕上がりにはある程度好感触を得ているようだった。そんなチームだけに、この勝ちは一気に勢いに乗れそうでもある。

　一方、市立松戸の飯田監督は、「せっかくの流れを呼び込み切れませんでした。9回の攻撃が悔やまれます」と、9回の無死二塁、一死三塁を攻めきれなかったことを悔いていた。

（文・写真＝編集部）

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