都立総合工科vs都立翔陽
中盤まで食い下がった翔陽だったが、最後は総合工科に屈する
好投した佐々木 悠太(総合工科)
この日から始まった、東京都の秋季大会一次ブロック予選。新チームが出来てから約1カ月半、各チームが夏休みの間に励んできた練習の成果を発表出来る最初の舞台が始まったということである。そして、いずれもまずは、このブロック予選を勝ち上がって、来月7日からの本大会に進出することが最初の目標となる。
会場校でもある総合工科は、もちろん会場校の責務としても一次予選突破というのは果たさなくてはならないという意識であろう。かつて、99年には都立城東を[stadium]甲子園[/stadium]出場に導いて、「東京都の高校野球の勢力構図と都立校の意識を変えた」と言われた有馬信夫監督が率いる総合工科。「自分たちが目指すところがどこにあるのか、そのことが明快であれば、どういう戦いをしていかなくてはいけないとかということはわかってくるはず」という認識である。だから、結果として勝つことだけを求めているのではない。
そんな意識の総合工科に対して、かつての館がら新校となって13年目の都立翔陽。松尾龍一監督は、相手は格上だということを認識しながらも、「調子がよければ、ある程度は行けるのではないかという気はしていた」という右サイドハンド気味の岸田悠史君を先発として送り出した。その岸田君が期待に応えて制球もよく、しっかりと打者のアウトローに投げ込んでいって、スイングの強い総合工科打線を上手にかわしていた。
そんな中で、総合工科は2回と4回、いずれも二死から9番の関田涼君のタイムリーで、得点圏の走者を帰して何とかリードしていた。ただ、この2点では、総合工科の佐々木悠太君も、もう一つ不安なところもあって安全圏ではないところだった。
岸田(翔陽)
しかし、4巡目となった7回、総合工科は1番高橋慶成君からの好打順だったが、やや疲れの見えてきた岸田君に対して左前打と野手の後逸もあってチャンスが広がり、3番神子晃汰君のタイムリーや、前原佑哉君も三塁線を抜くなどして得点を重ね、6番和田舞駆君の三塁打でリードを広げていった。
それでも都立翔陽も食い下がる。そのままだったらコールドゲームという場面で、気迫で二塁打した竹村元希君を三塁まで進めると、9番の岸田君がスクイズを決めて何とか1点を奪いにいった。このあたりは、松尾監督の、「少しでも長く試合をさせてあげたい」という思いもあっての作戦だったが、それをきっちりと決められるところに翔陽がしっかりと練習を積んできているのだろうなと言うことが窺える。
とはいえ、8回にも総合工科は相手失策で二死から好機を得ると、前原君が左翼線へ二塁打してもう一度突き放し、その裏を1失点で何とか凌いでコールドゲームとして力を示した。
もっとも、最初に7回にスッキリとコールドゲームで終わり切れなかったことも含めて、有馬監督としては満足度は低いというのが本心であったであろう。
(文=手束仁)
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