明豊vs坂井
ミレニアム世代から新たなスラッガーが現る!その名は浜田太貴!
坂井(福井)vs明豊(大分)
2000年生まれの逸材をミレニアム世代と呼ばれる。これまで多くのミレニアム世代を紹介してきたが、明豊・浜田太貴はこの世代の中でも上位に入る強打者となるだろう。大分大会で打率.389、3本塁打、11打点を記録した打撃はダテではなかった。この浜田が明豊の6年ぶりの勝利をもたらした。
まず3回裏、一死二塁の場面で打席が回った浜田は高めに浮いた直球を見逃さず、レフトフェンスにあっという間に到達する適時二塁打で1点を先制する。さらに同点に追いついかれた5回裏、同じく一死二塁の場面で打席がまわり、今度は高めに浮いた直球を右中間へ運ぶ適時二塁打で、2対1と勝ち越す。浜田の特徴を上げるととにかく打球速度が非常に速いこと。異質の伸びを見せるのだ。この打球の速さは大阪桐蔭、秀岳館、横浜の全国クラスの逸材が集まる学校と比較しても遜色はない。
この2本の長打で全国クラスの逸材だと証明した浜田。浜田の一打で勢いに乗った明豊はこの回、2点を追加して、4対1とした。しかしエース・橋詰開斗(3年)が誤算の投球。6回表、一死一、三塁のピンチを招き、8番石川 雅晴(2年)が甘く入ったスライダーを打たれて、左中間を破る適時二塁打で1点差にされると、0番山内 良太 (2年)のタイムリーで同点に追いつかれ、さらに8回表にはタイムリーエラーで2点の勝ち越しを許す嫌な展開。そんな展開も浜田が救う。8回裏、主将の三村鷹人(3年)の適時二塁打で1点差に追いつくと、二死二塁。この男が打席に立った。
とにかく打席に立った時の雰囲気が堂々としている。173センチ72キロと決して上背はないのだが、打席に立つとそれ以上に大きく見える。自信に満ち溢れてプレーしているのだろう。この勝負の場面でも楽しんで打席に入っているように見られた。そして1ストライク1ボールの3球目だった。内角ストレートを豪快に振り抜き、逆転2ランホームランで試合をひっくり返した。まさに期待通りの一発。この時の甲子園のスタンドの様子を見ると、浜田ならばやってくれだろうとそんな雰囲気が漂っていたが、その雰囲気に応える一発。まさにスター性溢れるスラッガーである。
浜田の打撃技術は非常に高度。スクエアスタンスで構え、グリップを高い位置に構えながら力みなく構えることができている。始動のタイミングはやや遅めで捉えるポイントも捕手寄り。これは浜田のヘッドスピードの速いスイングだからこそ打てる打法。トップを深く取ってからインパクトに入るまで無駄なく入ることができており、軸足と腰が綺麗に回り、最後のフォロースルーまで豪快に振り抜くことができている。小さくまとまらず、打球を高い角度で上げることに注視した打法である。
浜田の長打力、将来性の高さはもちろんだが、チャンスこそ打ってやるという姿勢が分かりやすく見える浜田の様子を見て、次の明豊の試合を見るのが俄然と楽しみとなった。
(文=河嶋宗一)
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