試合レポート

聖光学院vsおかやま山陽

2017.08.10

聖光学院、投打で初出場のおかやま山陽を圧倒

聖光学院vsおかやま山陽 | 高校野球ドットコム

聖光学院vsおかやま山陽

 昨夏の甲子園ベスト8の聖光学院。相手はノーシードから頂点に立ったおかやま山陽おかやま山陽は投打ともに能力ある選手を揃え、聖光学院サイドも警戒を深めていた相手であった。

 先制したのは聖光学院。2回表、4番柳沼 楽人(3年)の内野安打で無死一塁から、5番仁平 勇汰(3年)がレフトの頭を超える適時三塁打で1点先制。続く6番松本 聖也(3年)の右前適時打で2点を先制する。おかやま山陽の先発は大江海成(3年)。大江は岡山大会決勝戦で8回無安打に抑えた投手だが、レベルが高い好投手であった。コンパクト且つ力強く腕が振れる投球フォームで、常時135キロ~130キロ後半の速球を両サイドへ投げ分けができており、曲がりが鋭い125キロ前後のスライダ-、フォーク、100キロ前後のカーブと緩急を使い分ける意識の高さが光った投手であった。制球力もある投手で、この全国舞台に出るに相応しい投手だ。だが、聖光学院打線が高めに浮いたボールを見逃さず、大江を攻略する。

 聖光学院はさらに3回表、一死三塁から4番柳沼の犠飛で1点を追加。4回表には二死二塁から1番矢吹 栄希(2年)がライトへタイムリースリーベースを打ち、4点目を入れた。矢吹は冬場の紅白戦から活躍が光っていた選手。この1年で、上級生のセカンドからレギュラーポジションを奪い取り、1番セカンドとして出場する。180センチ73キロと上背があり、セカンドの守備は堅実且つスピーディ。冬場と比べると体つきもたくましくなり、スイングスピードが高まったことで、打球の伸びがだいぶ良くなった。矢吹はこれから評判になる選手ではないだろうか。

 4回途中からおかやま山陽はエースの小松章浩が登板した。小松は、大江と同じく躍動感あふれる投球フォームから投げ込む投手で、常時135キロ~140キロ、スライダー、カーブ、フォークと投げ分ける投手で、ここぞで決まるストレートの威力、コントロールが素晴らしい投手。簡単には打ち崩せない投手だが、聖光学院は5回表、先頭の3番瀬川航騎(3年)が二塁打を打って、一死二塁の好機で打席に立ったのは第1打席で適時打を打っている仁平。仁平は2球目のカーブを見逃すことなく、右前適時打を放ち、5対0と突き放す。


 主将に就任した仁平は、雰囲気漂う左の強打者。スクエアスタンスで構え、広角に鋭い打球を打てる選手で、穴も小さく、技術的な完成度が高い選手へ成長。8回表には、二死二塁のチャンスから8番大平 悠斗(3年)のタイムリーで6対0とした聖光学院。好投手・小松もしっかりと打ち崩す打線となったのである。

聖光学院は東北大会で仙台育英に敗れたが、この敗戦をしっかりと糧にしている姿が見られた。

 投げては齋藤 郁也(3年)が素晴らしい投球を見せた。まるで歳内 宏明を思い出させるようなテークバックを大きく取って、上半身を鋭く回転させるフォーム。140キロ前後の速球は角度があり、そして体の回転と腕の振りが連動しており、回転数が高く、おかやま山陽打線がストレートに差し込まれる姿があった。

 ストレート以上に良かったのはチェンジアップ。130キロ台と球速が速く、いわゆる緩く落ちるものではなく、ストレートと同じ軌道で、急激に落ちる。俗に言うお辞儀するストレートである。斎藤が良いのは躍動感ある腕の振りからストレートとチェンジアップを投げ分けるられること。

 おかやま山陽の打者は全く打者が対応できていなかった。そして120キロ台のスライダーも、手元で鋭く曲がり、さらにカウントも取れて精度も高い。面白かったのは90キロのカーブ。これが投球の大きなアクセントとなっていた。結果、8回以外、三振を奪い、12奪三振、5安打完封勝利。聖光学院のエースに相応しい素晴らしい熱投であった。聖光学院はまだ斎藤以外の投手を控えており、投手の層は非常に厚い。

 今年も全国上位を狙えるチームとなった聖光学院。次の試合でも、どんな試合運びをしていくのか、注目である。

(文=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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