花咲徳栄vs開星
投打が噛み合った花咲徳栄が快勝!
花咲徳栄vs開星
直前の試合で見た木更津総合のシートノックが100点の出来なら、花咲徳栄のシートノックは110点くらいあげられるだろう。ミスがなく、各野手のスローイングが速く、ノックの展開も早い。これから登場する大阪桐蔭とくらべてもひけはとらないと思う。しかし、100点のシートノックを見せた木更津総合が敗れているのである。花咲徳栄のナインにも指揮を執る監督にも「油断禁物」の精神はしっかり宿っていたと思う。
1回表、1番太刀岡蓮(3年)がセンター右にヒットを放つと、何と俊足を飛ばしてこれを二塁打にしてしまった。二塁到達に要したタイムは7.89秒。さらに2番千丸剛(3年)がバントをしたときの一塁到達が3.94秒。この2人の走塁にはナインの気持ちを鼓舞する効果があったと思う。そして1死二塁から3番西川愛也(3年)がライト前にタイムリーを放って早々と先制する。
2回も同じような展開で追加点を挙げる。7番小川恩(3年)がヒットで出塁すると8番綱脇彗(3年)が失敗するがバントを敢行、確実に点を取りに行こうとする意思がよく見えた。2死後、太刀岡、千丸の連続ヒットで2点追加。3回には4番野村がヒットで出塁すると5番須永光(3年)がバントで送り、その後相手エラーも絡んでチャンスを広げ、小川のタイムリーで加点、3回までの序盤で4対0の差がついた。しかし、中盤になっての中押しがないというのは、木更津総合の逆転負けを見た直後では不安心を煽った。この嫌な展開を救ったのが花咲徳栄の先発、綱脇である。
ストレートはこの日の最速139キロを見ても速くない。しかし、真横に滑る120キロ台のスライダーのキレが素晴らしく、これをストレートと同じ腕の振りで投げ分けた。さらに90キロ台のスローカーブを交え、私が見た綱脇のピッチングの中では最もよい出来だった。試合のカギはどこで最速149キロの本格派、清水達也(3年)にスイッチするかだと誰もが思ったが、ここまでの快投を見れば清水へのスイッチが不安要素にも思えるほど、綱脇のピッチングは安定していた。
打線は7回に目を覚ます。内野手のエラーに四球1、死球2を挟み、単打、二塁打、三塁打の波状攻撃で一挙に5点を加えた。私が注目する「ドラフト的視点」で見ても、西川(右肩の故障を押して出場)、2年生の野村をメインに、太刀岡、千丸、須永も4年先まで見れば候補になり、9回には清水がマウンドに立って最速148キロのストレートを披露してくれた。優勝候補の上位にのし上がった試合と言ってもいいだろう。
(文=小関 順二)
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