済美vs帝京第五
済美、「愛媛野球の模範」となるべき「残り3か月」の闘いへ
春夏連続・夏の甲子園初出場まであと一歩に迫った第1シード・帝京第五と、昨秋四国大会ベスト4の第3シード・済美とによる甲子園出場と、特別競技として10月6日(金)から4日間開催される「愛顔つなぐえひめ国体」高校野球(硬式)の開催地出場枠をかけた愛媛大会決勝戦。両校とも打線の活発さを強みに計30安打が飛び交う乱打戦となったが、スコアは済美が10対3で完勝し4年ぶり5度目の甲子園出場。その勝敗を分けたのは長打力、そして勝負どころでのディフェンス力であった。
長打力を比較すると帝京第五は10安打中長打が1番・佐藤 蒼介(3年・右翼手・170センチ70キロ・右投左打・B.B.凌駕<ヤングリーグ>出身)の2本含む3二塁打に留まったのに対し、済美は7回裏二死一塁から3番・亀岡 京平(3年・三塁手・172センチ87キロ・伊予市立港南中出身)がライトスタンドにライナーで叩き込んだ大会通算11号、済美としては大会3本目となる2ランに加え、二塁打8本、三塁打1本。実に20安打中半分が長打という爆発ぶりであった。
ちなみにこれで済美は大会を通じ170打数68安打。チーム打率.400ちょうど。68安打中24本が長打。長打率(OPS)は実に.600。済美が対戦した投手たちが3回戦で対戦した松山中央を除き平均135キロを下回っていたことを差し引いても、近年の愛媛代表には見られなかった強打である。
投手陣も決して悲観するものではない。前日、松山聖陵との準決勝で自己最速141キロをマークして完投した八塚 凌二(3年主将・175センチ77キロ・右投右打・新居浜リトルシニア出身)は、2度の登板で計9安打を打たれながらも、四死球1の制球力で失点を2(自責点1)に留め、2番手の左腕・影山 尭紀(3年・173センチ77キロ・左投左打・宇和島市立宇和海中出身)も1回3分の1を投げ無四球で無失点。聖地で最終的に打ち勝つ条件となる「余計な走者を出さず最少失点で留める」要素は満たしている。
そしてもう1つ、済美について触れたいのは「明かなマナーの向上」だ。甲子園決勝戦と同じく許される決勝戦前の打撃練習が終われば、レギュラー含む選手たちが自主的に内野グラウンドを丁寧にならし、最も喜びたいはずの本塁打や優勝の瞬間も出るのは少々の笑顔だけ。派手なガッツポーズはない。前回の甲子園出場後、彼らには様々な出来事があったが、選手たちはすでに当該学年が卒業した後も、世間へのしょく罪の意識を強く持っていることが如実に解る。個人的な意見を言えば「もう、世間は彼らを許してやっていいのではないか」。そう思う。
済美の現チームに与えられた時間は「残り3ヶ月」。彼らはこれからも「愛媛野球の模範」となるべく、すべてのレベルアップに努めていくことだろう。その集大成は甲子園はもちろん、再び踏みしめることになる[stadium]坊っちゃんスタジアム[/stadium]のグラウンドである。
(レポート=寺下 友徳)
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