帝京第五vs今治東
帝京第五を救った「這い上がった男」髙橋 一平
スコアだけ見れば8回コールド勝ちとセンバツ出場の経験値と第1シードの貫録を示す形になった帝京第五。ただ、その内実は薄氷を踏む勝利だった。
帝京第五は1回表一死満塁から遊ゴロと敵失が絡み2点を先制。3回表も二死一・二塁から6番・今田 一希(3年・一塁手・180センチ75キロ・右投左打・B.B.凌駕<ヤングリーグ>出身)、7番・川本 虎大(3年・二塁手・169センチ68キロ・右投左打・宇和島ボーイズ出身)の連続適時打で2点を加えた。
が、その裏に今治東は1番・羽藤 勇貴(3年主将・左翼手・179センチ67キロ・右投右打・今治市立南中出身)、3番・児島 有佑(3年・一塁手・169センチ61キロ・右投左打・今治市立南中出身)の二塁打2本で1点を失うと、続く4回裏にも二死一塁から1991年夏に川之江で、2006年春には今治北で甲子園を経験している木村 匠監督が仕掛けたヒットエンドランに8番・小池 永真(2年・中堅手・167センチ55キロ・右投右打・今治市立南中出身)が見事反応。右中間を破る二塁打で2点目。なおも二死二塁で打者は前打席二塁打の羽藤。帝京第五のリードは風前の灯火にあった。
ここで帝京第五・小林 昭則監督は一見、無謀にも見える采配を振るう。2番手マウンドに送り込んだのは髙橋 一平(3年・180センチ74キロ・右投右打・京都嵯峨野ボーイズ<京都>出身)。センバツを前にした練習試合では四死球を連発し、最終登録変更でベンチ外。その後も潜伏の時を過ごしていた大型右腕である。
しかし、指揮官の起用は確信に基づいたものである。その後、腕をスリークォーターからサイドに下げた髙橋 一平はテンポ良い投球を獲得。6月のブルペンでは他の投手陣よりもキレのある、横の角度に優れ、かつホームべースの四隅で構える篠崎 康(3年・捕手・178センチ87キロ・右投右打・宇和島ボーイズ出身)のキャッチャーミットに向かっていい音を鳴らしていた。
はたして、公式戦では……。心配は無用だった。髙橋 一平は羽藤を空振り三振に仕留めると、120キロ前後ながらキレのあるストレートを中心に4回3分の1を2安打2四死球4奪三振で1失点。この投球に力を得た帝京第五打線は6回表に上位打線の4連打などで5得点。最後は8回表一死から4番・篠崎が大会第11号、自身高校通算18本目となるソロアーチを豪快にレフトスタンドに叩き込んで、帝京第五は8回コールドで9年ぶりの準決勝へ駒を進めた。
なお、帝京第五は7月27日(木)10時から[stadium]坊っちゃんスタジアム[/stadium]で行われる準決勝で宇和島東と川之江の勝者と対戦。春夏連続甲子園出場、悲願の夏甲子園初出場へいよいよラストスパートに入った帝京第五に最後の一押しを与えるのは「這い上がった男」髙橋 一平に他ならない。
(レポート=寺下 友徳)
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