慶應義塾vs三浦学苑

　大和スタジアムの5回戦、第2試合は第2シードの慶應義塾と、プロ注目の好投手、石井を擁する第3シード、三浦学苑の対戦。この両校は春に対戦しており、この時は慶應義塾が三浦学苑を2対1の僅差で下している。

　天気は曇り、気温27.9℃、風は南南西3.9mで、バッターにとって逆風のコンディション。

　試合は波乱のスタートとなる。
　慶應義塾は1回表、先頭の1番宮尾、2番矢澤に、いきなり連続ホームランが飛び出す。なおも攻撃は続き、3番下山のライト前ヒット、6番綿引のライト線2塁打などで計3点を上げ、三浦学苑のエース石井に先制パンチを浴びせる。

　その裏、三浦学苑も慶應義塾の先発、森田を攻め、二死から3番青木のレフト前ヒットと4番伊保の四球、さらに5番土屋のライト前ヒットで満塁のチャンスを迎える。しかし6番草柳がショートゴロに倒れて無得点に終わる。

　続く2回表も慶應義塾は先頭の9番森田が左中間フェンス直撃の二塁打で出塁すると、1番宮尾がバントでランナーを三塁に進め、さらに2番矢澤が四球を選び、一死一、三塁と追加点のチャンスを作る。ここで、3番下山にセンター前ヒット、さらに4番正木にレフト線二塁打の連続タイムリーが生まれ、計2点を追加。序盤から慶應義塾が三浦学苑を5対0と大きくリードする。

　初回こそ満塁のピンチを背負った森田だったが、その後は伸びのあるストレートと変化球で三浦学苑打線を無難に討ち取って5回まで無得点に抑え、6回からは2番手の生井にマウンドを託す。一方の石井は、3回以降も慶應義塾打線から痛打を浴びてランナーを背負うも、5回にはスクイズを上手く外すなど、何とか要所を締めてこれ以上の追加点は防ぎ、7回から渡邊のリリーフを仰ぐ。

　そして7回表の慶應義塾の攻撃。先頭の5番森野が代わった渡邊からセンターに大飛球を放つ。完全に抜けたと思われたが、三浦学苑はセンター御船が背走してダイビングキャッチ。これで渡邊は波に乗り、続く6番綿引、7番新美を連続三振に仕留めて3アウト。その後、9回まで慶應義塾打線を無安打、無得点に抑える。

　さらに7回裏、三浦学苑は、ようやく反撃を開始。2番手の生井から7番石井がセカンドへの内野安打で出塁すると、8番石川がレフト前ヒットでつないで一、二塁。続く9番中村が着実に送りバントを決めて一死二、三塁のチャンスを作る。ここで打順がトップに還って1番御船がサードへの内野安打でまず1点を返し、なおも一、三塁で2番斉藤がセンター前にきれいに弾き返し、2点目が入る。

　その後、3番青木のショートゴロでセカンドのみフォースアウトとなって二死一、三塁、さらに4番伊保が四球を選んで満塁とチャンスが続いてバッターは5番渡邊。渡邊の叩きつけた打球は人工芝の大和スタジアムで大きく弾んだが、慶應義塾のショート宮尾が落ち着いて捌いてすばやくファーストに送球。渡邊のヘッドスライディングは及ばず、3アウト。三浦学苑の反撃は2点に終わった。

　7回のピンチを脱した慶應義塾の生井は、8回、9回は危なげなく三浦学苑の攻撃を無得点に抑え、5対2でゲームセット。慶應義塾が三浦学苑を破り、ベスト8進出を決めた。

　三浦学苑のエース、石井は、序盤に連続ホームランを浴びて浮き足立ってしまったか、その後もストレート頼みの投球で慶應義塾打線に狙い撃ちされてしまったようである。今回は残念な結果に終わってしまったが、素材はいいので、今後も活躍が期待されるだろう。

　一方、慶應義塾は、春に5安打に抑えられた石井を見事に攻略した。各打者、スイングが鋭く、アウトになっても芯を食ったヒット性の打球が多く、全般に優位に試合を進めた。

　しかし、あれだけ序盤に猛攻していながら、終わってみれば、3回以降は無得点で、6回以降は無安打。安打数も慶應義塾が10で、三浦学苑が8。序盤の一発攻勢などで大量点が入ったことで、その後、各打者が長打ばかりを狙った感があり、ヒット性の打球が再三、外野のフェンス際の奥深くまで飛ぶも、逆風や三浦学苑の好守に阻まれてアウトになるケースが多かった。その一方で、スクイズを外される場面もあり、準々決勝以降、強豪校との接戦に勝つには、「1点の取り方」が重要になってくるだろう。

　勝った慶應義塾は、25日にベスト4をかけて、いよいよ第1シードの桐光学園と対戦する。

（記事＝松田 祥二郎）

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