名古屋大谷vs豊丘
8回までは2対2の競り合い、9回名古屋大谷が一挙11点
こういうスコアになっていく試合もあるものなのだと、改めて高校野球の難しさというか、一つのプレーで、試合展開そのものが一気に変わるのだということを思い知らされた。
8回を終わって2対2。名古屋大谷の今野天翔はここまで11三振を奪う好投だ。右サイド気味の腕の出方で、必ずしも球威があるというものではないが、制球を意識した感じで丁寧な投球だ。豊丘は先発榎本准が4回まで投げ、5回からはエースナンバーをつけた左腕・横山立樹が投げていた。横山も、5回には1点を失ったものの、その後はしっかりと押さえていた。こうして、延長戦もあるだろうというか、延長戦の可能性が高いかなという展開になってきた。
ところが、9回に名古屋大谷にここまでの展開では考えられない、11点が一挙に入った。
この回1番からの好打順となった名古屋大谷、先頭の綾部龍斗は四球でバントで送るが、慎重に処理しようとした豊丘はそれが悪送球となって無死二三塁。ここまで当たっている近田は敬遠気味の四球で満塁。続く4番伊藤が右前打して2者が帰る。さらに寺田、百瀬らが続いて、途中出場の渡辺敬の右越三塁打や紺他のこの日自身3本目となる二塁打と、とどめとして伊藤の右越2ランが出て、終わってみたら、この回だけで打者14人の7安打3四球の11点が入った。ここまでの、接戦が何だったのだろう…と思えてしまうような展開でもあった。
もっとも、こういうことがあるのも高校野球だということである。
試合結果のスコアだけを見たら、コールドゲームかと思われる点差である。しかし、現実には、8回まではどちらにどう転んでいくのかわからない展開。それが、一つのバント処理から始まってこういうことになってしまう。特に、夏の大会では、それが致命傷になってしまうのである。そんな、象徴的な試合だったともいえるのかもしれない。
豊丘は、初回に藤井の左翼線二塁打で先制し、3回には1番世古の左翼へのソロホーマーも飛び出した。こうして、序盤の展開では、明らかに自分たちのペースで試合を組み立てていた。それだけに、悔やまれる9回の大量失点だったとも言えそうだ。
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