秀岳館vs作新学院
昨年夏の覇者と、昨年春夏4強の対決はスピード感溢れる好ゲームに!
秀岳館vs作新学院
昨年夏の覇者と、昨年春夏4強の対決はハイレベルな好ゲームとなった。作新学院は昨年秋の関東大会を見て、正直夏を制した旧チームの強さは感じられなかった。今井達也(西武)がいた投手陣はもちろん、入江大生たちで構成された打線の迫力もなく、これでよく関東大会が勝てたなというレベル。それがひと冬越して関東の覇者にふさわしい姿になった。
旧チームでも目立っていた鈴木萌斗(3年・中堅手)は大型1番打者だ。バットが内側から出るよさがあり、第2打席は初球のカーブを捉えてレフト前に運び、このときの一塁到達タイムが4.26秒という速さ。第3打席はセンター前に弾き返し4.25秒。8、9回は徹底的に警戒されて四球で歩くが、ともに2番添田真聖(3年・二塁手)のときに盗塁し、8回は1点差に迫るホームを踏んでいる。
添田も鈴木に負けない健脚の持ち主だ。1回にレフト方向へ二塁打を放ち、このときの二塁到達が俊足と評価される8秒未満の7.91秒で、4番中島淳(3年・三塁手)のときの暴投で先制のホームを踏んでいる。
この2人が作新学院の走塁での牽引役なら、秀岳館では1番半情冬馬(3年・遊撃手)、6番田浦文丸(3年・投手)、8番藤本舜(3年・中堅手)が足でチームを引っ張った。半情は2対1とリードした5回裏、一死一塁の場面でライト前にヒットを放って3点目のお膳立てをし、このときホームに還ったのが藤本。藤本はライト前ヒットのときの一塁到達が4.16秒という鈴木を上回る俊足で、凡打に倒れた3、7回も4.09秒、4.11秒という速さだった。半情も第1打席のショートゴロのときの一塁到達が4.14秒で、作新学院の内野陣にプレッシャーを与え続けた。
投手の田浦も俊足だ。1対1の同点で迎えた4回裏にはライトに三塁打を放って、このときの三塁到達が11.90秒という速さだった。2回はショートゴロに倒れるが、このときの一塁到達も私が俊足の目安にしている4.3秒未満の4.28秒。投手としても能力が高く、高校卒業後は投手か野手か進路に迷いが出るかもしれない。投手としては7回二死二塁の場面で降板し、右翼にポジションを替えている。投手としての再登板を睨んだポジション替えだが、打撃のよさと俊足を見ればベンチに置くのは惜しいと私でも思う。
田浦に代わってマウンドに立った左腕・川端健斗(3年)はストレートの最速が1回戦の146キロを上回る148キロ。横ブレのない真縦に割れるスライダーのキレも素晴らしく、今大会を代表する本格派と言って間違いないが、8回に鈴木、添田に連続四球を与え、9回も同様に鈴木、添田に連続四球を与え、満塁のピンチを迎えている。8回は1点差に迫られたあと5、6番を連続三振に打ち取り、9回は3番打者をセンターフライに打ち取ってゲームを締めたが、準々決勝に向けてコントロールをいかに安定させるか新たな課題を与えられた。
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