福岡大大濠vs創志学園
優勝の最有力候補に躍り出た福岡大大濠
三浦銀二(福岡大大濠)
優勝候補の一角、福岡大大濠が下馬評通り強さを発揮して[team]創志学園[/team]を退けた。最大の勝因は先発、三浦銀二(3年)の力投である。この選手のよさを一言で言い表せば投球フォームのよさである。バックスイング→テークバック→腕を前に振っていく→リリース→フォロースルーという流れの中で、欠点らしい欠点が見当たらない。
腕の振りは常に体に密着して行われ、テークバック時に右腕が打者から見えず、それでいて腕の振りが窮屈にならず、腕を前に振っていくときヒジが立ち(ヒジの位置も高い)、下半身はステップする足が軸足の後ろに回り込まず(余計な体のねじりがない)、下半身が誘導して上半身を前に出していく、つまり「下半身→上半身」の流れができている。さらに言えば、早い前肩の開きもないので打者からボールの出所がみえづらい。ここまで3日間、14校を見てきて三浦ほどいいフォームで投げる投手は他に見当たらなかった。
秋の段階でもいい投げ方をする投手だと思っていたが、唯一の不安がストレートのスピード不足だった。140キロ台前半は全然遅くない。しかし、ドラフト候補と言われるなら最低でも140キロ台中盤はいってほしかった。ひと冬越してストレートはどれくらい速さを増したのか興味津々で見ていると、2回には144キロを計測して、3回に2番打者を三振に仕留めたストレートは146キロを計測した。
変化球は大小2つのスライダー、110キロ台中盤のチェンジアップ、100キロ台前半の斜め変化のカーブがあり、前半はスライダー、中盤以降はカーブをカウント球として使い、ストレートとのアンサンブルで緩急を自在に操った。
創志学園の6回表の2点は2死二、三塁の場面で金山昌平(2年)が打ったセンターへの大きい飛球をセンターが目測を誤って二塁打にしたもので、厳密に判定すればエラー。また8回には先頭打者のフライを三塁手が落球したところからピンチを招き、やはり金山の二塁フライで三塁走者がタッチアップして生還したもの。私には無失点と言ってもいい内容の投球だった。
打線では福岡大大濠の誇る3番古賀悠斗(3年・捕手)、4番東怜央(3年・一塁手)が無安打で、それを補うように5番稲本侑星(三塁手)と8番樺嶋竜太郎(左翼手)の2年生が活躍した。とくに迫力満点だったのが樺嶋だ。2回に技巧派左腕、秋山竜彦(3年)の低めカーブをレフトスタンド、続く4回には本格派右腕、難波侑平(3年)の141キロのストレートをやはりレフトスタンドへ放り込んだ。
1本目は低めカーブ、2本目は内角高めへの141キロである。どちらもやさしいコースではない。それも緩急を打ち分けているところに価値がある。2年生、恐るべしである。以上3人に、この試合不発だった古賀、東が真価を発揮したらとんでもなく強いチームになる。優勝候補の一角どころか、最有力候補に名乗りを挙げたと言っていいだろう。
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