都立葛飾野vs豊島学院
ブライト2打席連続本塁打、茨木15Kで都立葛飾野都大会進出
ブライト健太(都立葛飾野)
春季都大会1次予選、第24ブロックB代表決定戦は、都立葛飾野の投打の柱が、強い印象を残した試合になった。
1回表の豊島学院の攻撃を、都立葛飾野の先発・茨木亮丸が140キロ近い速球とスライダーやスプリットを使い、奪三振2の三者凡退に抑える。その裏の豊島学院の先発、横手投げの岡部佳祐が緩急をつけて、都立葛飾野打線を翻弄し、こちらも奪三振2の三者凡退に抑える。
出だしは投手戦の様相を呈していたが、その流れを一気に打ち破ったのは、都立葛飾野の4番の一発だった。2回裏の先頭打者であるブライト健太は、「前の回三者凡退だったので、少し狙っていました」と言う。初球を叩くと、逆方向に伸びた打球は、ライトフェンスを越える本塁打になった。
3回裏は一死二塁から1番・西田裕太が右中間を破る二塁打を放って1点を追加する。
一方、都立葛飾野の茨木は、3回を終えて失策の走者を1人出しただけで、奪三振7の快投。この投球が、豊島学院にプレッシャーとなる。
4回表、豊島学院は、この回先頭の2番・岩坂晴太が死球で出ると、続く白川竜聖は右中間を破る二塁打を放つ。すると一塁走者の岩坂は、一気に本塁を狙うが、これはアウト。無死で次は4番であることを考えると、無理する必要はないが、茨木の好投に対する意識が、焦りを生んだようだ。それでも一死二塁であり、ここで4番の平野京介が左前安打を打って白川は生還し、豊島学院が追い上げる。
ところが、試合の流れを都立葛飾野に引き戻したのが、前の打席で本塁打を放っているブライト健太だった。4回裏、この回の先頭打者であったブライト健太は、今度はセンター柵越えの2打席連続の本塁打を放つ。
「練習熱心で、いつまでもバットを振っています。食事も5、6回はしていると思いますが、栄養管理もしっかりしています」と、都立葛飾野の鳴海崇行監督は語る。
茨木亮丸(都立葛飾野)
見た目にもこの1年で随分大きくなった感じがするが、高校入学時に71キロだった体重は、昨年の春は73キロ程度だったが、今は82キロにまでなっているという。その分、パワーはアップしている。
都立葛飾野はこの回さらに代打・宇田川大輝の二塁打などでさらに1点を加える。5回裏にも、ブライト健太の中前安打のほか、3番・有村賢次、6番・山本夏己の犠飛などで2点を追加。7回裏には3安打を集めて2点を加える。8回裏には二死二塁の場面でブライト健太が、センターオーバーの安打を放ち、9点目。9対2で8回コールドが成立した。
投の主役である茨木は、6回表に中堅手の失策で1点を失ったものの、8回を投げて奪三振15。被安打3、自責点1の完投であった。茨木はMAX138キロだそうだが、既に140キロを超えているのはないか。「この冬はポール間ダッシュなど下半身を鍛えました」と茨木。まだ線が細い感じはあるものの、それでも体重は、4〜5キロ増えているという。
都大会では、1回戦は目黒学院と対戦し、勝てば日大三との対戦になる。「まずは目黒学院戦に向けて、しっかり準備をしていきたい」と都立葛飾野の鳴海監督。選手たちも、その辺は十分心得ているが、どうしても、勝てば2回戦で当たる、日大三の存在が気にかかる。
父親がガーナ人のブライト健太は、父親がアメリカ人の金成麗生について、「ライバルと呼べるような存在ではありませんが、同じハーフなので、意識はしています」と語る。この試合好投した茨木は「対戦するのが楽しみです。自分の実力を測るよい機会です」と語る。個性溢れる「下町の野球小僧」の健闘を期待したい。
(取材・写真=大島 裕史)
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