札幌第一vs宇部鴻城
9回の攻防の明暗!札幌第一、佐藤のサヨナラ安打で接戦を制す
サヨナラ打を打った佐藤(札幌第一)
北海道大会で優勝して1か月以上経つ札幌第一に対して、宇部鴻城は先週、中国大会を終えたばかり。
札幌第一の菊池 雄人監督は、「大舞台に上がってしまったようで」と言い、宇部鴻城の尾崎 公彦監督は、「もう少しほってくれると思っていましたが、疲れがまだ残っていたのかも」と言うように、札幌第一の先発・冨樫 颯太も宇部鴻城の早稲田 玲生も、序盤はどうもピリッとしない。
1回表、宇部鴻城の二塁打の1番古谷 慎吾は2番海田 一斗の犠打失敗により三塁でアウトになったが、残った海田が暴投で三塁まで進み、3番荒武 悠大の遊ゴロの間に生還した。
しかしその裏、3番柴田 颯の振り逃げの後、4番高階 成雲、5番今野 克則、6番佐藤 眞那人の3連打で同点に追いついた。ただし、なおも続く満塁のチャンスは生かせなかった。
すると宇部鴻城は2回表、安打2本と四球で一死満塁とし、9番楢木 佑麻の二ゴロは、人工芝の上で高く跳ねて外野に転がり、2人が還った(記録は二塁手・佐藤の失策)。さらに3回表は、安打で出塁した3番荒武、4番嶋谷 将平が、捕逸と、6番打田 啓将のスクイズで還り、2点を追加。宇部鴻城が一方的にリードするかにみえた。
けれどもその裏、3番柴田、4番高階、6番佐藤と、犠打一つを挟んで3連打で1点を返し、さらに7番岡 優太のレフト線への二塁打で2人が還り1点差に迫り、4回裏に、2番中村 泰賀、3番柴田の安打に、4番高階の二ゴロで1点を入れ、同点に追いついた。
4回が終わって5対5と、乱打戦の様相を呈したが、同点に追いついてからは、両チームの投手が投球のリズムを取り戻し、試合が締まってきた。加えて、宇部鴻城の遊撃手・嶋谷がしばしば好守備を見せるなど、守備陣の踏ん張りが、試合に緊張感を持たせた。
8回途中に札幌第一は富樫から前田 剛志に、宇部鴻城は早稲田から一塁を守っていた荒武に投手が変わり、試合の行方は、2番手の投手にゆだねられた。
4番ショート・嶋谷将平(宇部鴻城)
9回表宇部鴻城は、この回先頭の7番正木 雄大が振り逃げというラッキーな形で出塁すると、9番楢木の四球、1番古谷の中前安打で、一死満塁のチャンスを作る。打順は2番の海田。スクイズも考えられる場面であったが、「考えてはいました。相手投手のボールが荒れていたので、タイミングを計っていたのですが」と宇部鴻城の尾崎監督。一方の札幌第一の菊池監督は、「低めに変化球を集めること。それしかありませんでした」と語る。ここで札幌第一の前田は、菊池監督の期待に応え、2番海田、3番荒武を続けて三振に仕留め、ピンチを切り抜けた。
その裏札幌第一は、2番中村がレフトオーバーの二塁打で出塁して、サヨナラのチャンスを迎える。続く柴田は四球で、4番の高階がきっちり送り、一死二、三塁とする。チャンスを迎え、札幌第一の菊池監督に迷いがあったが、5番今野の一ゴロで中村は本塁で刺され、二死。それでも中村はすんなりアウトにならず、挟殺となる間に走者は二、三塁に進んだ。ここで6番佐藤がセンターオーバーの安打を放ち、柴田が生還して札幌第一がサヨナラ勝ちを収めた。佐藤は昨年の明治神宮大会にも出場している。この試合では2回に傷口を広げる失策をしているが、「ミスでも動揺せず、エラーでもぶれない。佐藤に救われました」と菊池監督は言う。柴田、佐藤が3安打しているが、今年の札幌第一は、どこからでも安打が出る。エースで主将の上出拓真を中心とした昨年のチームとは違うチームカラーの戦いぶりに注目したい。
一方敗れた宇部鴻城は、2年前の明治神宮大会で東海大四(現東海大札幌)にコールドで負けている。それだけに、同じ北海道勢と対戦する、この試合への思いは強かった。「2年前の思いはあります。ああいう悔しい思いはしたくありませんでした」と宇部鴻城の尾崎監督は言う。この敗戦に悔しさも強いが、「悔しさが原動力になります」と力強く語った。
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