滋賀学園vs報徳学園
夏ベンチ外の男がここ一番で快投!報徳学園を完封した棚原の巧みな投球術!
棚原(滋賀学園)
滋賀学園が去年に続き、報徳学園に完封勝利。それも別の投手が完封勝利を果たしてしまうのだから、改めて滋賀学園の投手層の厚さに驚かされる。先発マウンドに登った棚原 孝太。173センチ66キロとエース神村月光と体格的に似た投手である。棚原は夏にベンチ入りを外れ、その悔しさをバネにここまで伸びてきた投手だ。
報徳学園を完封するのだから素晴らしい才能を持った投手であると思ってしまう。しかし棚原は確かに好投手ではあるが、一目見てプロのスカウトが注目するようなボールを投げるわけではない。だが速球、変化球のコントロールが優れた投手で、抑える投球術、ツボを持った投手である。キレのある速球を投げるために下から上へ体重移動するイメージで投げる。左腕のグラブを高々を掲げた独特のフォームで開きを抑えて投げこむ速球は常時125キロ~132キロぐらいだが回転数が高く、球速表示以上に勢いを感じさせる投手だ。さらに本人が武器とする縦横のスライダー、カーブ、チェンジアップも低めへコントロールできており、ストライクを取れる球種がいくつもある。投球の幅も広く、リードする後藤博基は、直球に強い報徳学園打線に対し、いかに変化球を振らせるか、またはストレートを速く見せる投球を心がけた。
変化球中心で見せておいて、最後は高めのつり球で空振り三振を奪ったり、ここぞというところでインコースをびしっと投げたり、打ち気にはやった打者に対しては抜いたストレートを投げたりと、打者心理をついた後藤のリードに棚原が応える形に。味方の援護は2回裏、知念が放った本塁打による1点のみ。
非常に苦しい試合だったが、粘り強く投球を続け、9回表も二者連続三振を奪い、1人走者を出したが最後は右飛。3安打完封、8奪三振、球数は111球と効率の良いピッチングで見事にシャットアウト。棚原にとっては公式戦初完封。初完封の試合を選抜出場がかかった近畿大会準々決勝で実現するのだからまさに強運の持ち主である。最後まで内外角、高低への出し入れが絶妙で、まさに勝てる投手の投球であった。
山口監督は「今まではあいつの生真面目さが大事なところに出て打たれることがあったのですが、今日は最後まで気持ちで攻めた投球ができたと思います。本当に大きい投球でした」と指揮官も評価する好投だった。
打線も強力で、守備も後藤を中心にしっかりと締められていて、内外野も堅い。さらに神村、棚原と2枚看板がいる。まさに滋賀学園はチームとして旬を迎えている。準決勝では履正社と対戦するが、この一戦を制したことで、さらに成長した姿を見せてくれるに違いない。
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