早稲田実業vs日本学園
清宮、高校通算72号の3ラン!早稲田実、日本学園を圧倒
清宮幸太郎(早稲田実業)
大会に入って初めて、さわやかな秋空に恵まれたこの日、早稲田実業の清宮 幸太郎が登場するとあって、平日にしては、ネット裏を中心に大勢の高校野球ファンが詰めかけた。
早稲田実業の初戦の相手は日本学園。両校とも101年前の夏の第1回大会に参加している伝統校同士だ。ただし日本学園は、早稲田実業のプレッシャーの前に、落ち着きを失っていた。「試合前のアップの時から、清宮君、清宮君でしたから」と、日本学園の高橋 裕輔監督は言う。
日本学園の先発・小藤川 千寛は、1回表こそ、清宮を死球で出したものの、得点を許さなかったが、「それで、ほっとしてしまいました」と日本学園の高橋監督が言うように、2回表は、日本学園が自滅する形で、大量点を許す。この回、2つの四球と犠打で一死二、三塁とし、先発投手でもある8番の服部 雅生の左前安打で2人が還る。さらに9番野田 優人の四球の後、1番福本 翔が中前安打。これを中堅手が後逸し、福本は一気に生還し、この回大量5点を入れた。なおこの回打席に入った清宮は、ライトに大きな打球を放ったが、フェンスの手前で捕球された。
早稲田実業の先発はエースの服部 雅生。腕をやや横から出すようにフォームを変え、印象がかなり変わった。大量リードを奪った後はしっかり締めて、試合の流れを作りたいところだが、2回裏日本学園は、4番井上 丈伊の右中間への二塁打、6番古井 万莉央の左前安打に四球で、一死満塁のピンチを迎える。ここで一発出ると試合が分からなくなるが、8番小藤川の一ゴロを、清宮が落ち着いてさばき、一塁手、捕手、一塁手とボールが渡り併殺。ピンチを切り抜けた。
3回表早稲田実業は併殺崩れの間に1点を追加。そして4回表、四球で出た走者を2人置いて、打席には清宮が立った。清宮がツーボールからの3球目のスライダーを叩くと、打球は軽々と伸びていき、ライトポール近くに入る3ラン本塁打になった。打った瞬間本塁打と分かる一発だった。「ノーツーから変化球が来ると思っていました。狙い通り打てて良かったです」と清宮は言う。
小藤川千寛(日本学園)
その裏日本学園は、当たっている井上、古井の安打で1点を返した。しかし勝敗はほぼ決しており、6回表も野村 大樹のテキサス性の二塁打で、1点を追加し、10-1。7回裏は赤嶺大哉が登板し、この回を無失点で抑え、7回コールドで早稲田実業が勝利した。
実力の差があったのは確かだが、日本学園の高橋監督が、「もう少し普段通りにできれば良かったのですが」というように、早稲田実業の名前が持つプレッシャーにやられた一戦だった。ただこの段階で、早稲田実業のようなチームと、公式戦で戦えたこと自体、大きな収穫であり、この経験を生かしてほしい。
一方早稲田実業は、清宮の本塁打は相変わらず別格という感じであったが、他は四球や敵失による点が多いことを考えると、やや物足りなさもあった。特にカギを握る4番の野村 大樹は、二塁打を1本記録しているが、これは、二塁手と右翼手の間に落ちたポテンヒットであったことを考えると、すっきりとした当たりがほしいところだ。この点について早稲田実業の和泉 実監督は、「今日は硬くなってしまいました。夏は良かったので、その感覚を思い出してほしい」語った。
数多くの大舞台を踏んでいる清宮だが、センバツはまだ経験がない。「センバツの舞台に立ってみたいし、みんなを甲子園に連れて行きたいと思っています」と語る清宮は、「1人では勝てない。まわりも底上げしていきたいです」と、主将としての責任を感じさせることばが目立つようになった。
2回戦は中2日空けて、日大一と対戦する。近年は結果を残していないが、かつては東京を代表する強豪校であった。この日行われた試合で延長11回を完投した下野 湧雅は、明星相手に被安打4、失点1と好投。早稲田実業にどこまで食い下がるか、注目の一戦となる。
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