東山vs京都翔英
一発で!
7回に決勝2ランを放ちダイヤモンド一周する田中将人(東山)
一発でゲームが決まった。
7回裏、二死から死球で走者が出た東山は1番・田中 将人(2年)が初球を振り抜き、打球はレフトスタンドへ。値千金の2ランが決勝点となった。
「打った瞬間に行ったと思いました」と手ごたえバッチリだったことを話した田中。夏休みはチームで1日1000スイングのノルマを課し、朝の練習前にまず400スイング。今は「マメでカチカチになった」という手を見ながら、優勝を決める本塁打を喜んだ。
ゲームは両チーム0行進の展開。「7,8点を争う展開になるよと選手に話した」という東山・足立 景司監督の読みを良い意味で裏切った。その展開にさせたのが、先発した背番号10・小山 湧平(1年)の粘り。1回と2回で計4安打を浴びたが、相手の走塁ミスや、バックのダブルプレーで乗り切った。すると4回から7回までは全て1イニング10球以内とテンポよく打たせて取るピッチング。回を重ねるごとにマウンドでのたち振る舞いが大きく見えるようになった。
6回の攻撃が終わり、7回裏に8番・小山に打順が回ることになると、足立監督は7回表を小山のラストイニングにすることを決めて送り出した。しかしアクシデントが起こる。一死から京都翔英の5番・新田 大輔(2年)が放った打球が、小山の下腹部に直撃。打球を処理したあと、悶絶しながら倒れ込んだ。この場面での継投も頭の片隅にあった指揮官だが、小山の「行けます」の言葉に続投を決断。さらに予定通り、7回裏に小山に代打を送ろうとした際も、「行けます」と志願したそうだ。さすがにゲーム展開を考えた指揮官の策は変えなかったが、試合の中で1年生右腕は大きく成長した。
その小山に代打が出たイニングで飛び出した一発。8回からはエース・金和修平(2年)が2イニングを無失点で締め、22年ぶりに秋の頂点に立った。
「無失点で勝ったのは、新チームになって初めてです」と驚きを見せた足立監督。25歳の若き指揮官は、今年の4月に就任したばかりで、「1年目で優勝できるとは」と目を丸くした。
一方、敗れた京都翔英は春、夏、秋の京都三連覇にあと一歩及ばなかった。阿部 大弥主将(2年)は、「序盤のチャンスに得点できなかったのが大きかった」と唇をかみしめる。自らも1回のチャンスに走塁ミスを犯してしまった。それでも先発した背番号11のアンダースロー・高田 尚哉(2年)が試合を作った。エースの内橋 拓也(2年)と速球派のリリーフ・阿部に次ぐ存在として台頭。何より、高田のアンダースローからの投球はストライクさえ入れば相手打者にとっては大きな脅威となる。さらに一発は浴びたが、左腕の坂田 康弘(2年)も経験を積んだ。2週間後の近畿大会、タイプの違う四人の投手をどう使い分けるか。浅井 敬由監督の采配に注目だ。
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