高松商vs土庄
高松商「うずしお打線」から学んだ勝利への道筋
松岡 志佑(高松商)
「投手は3人投げてくれたんですが、恐らく140キロ台。キレもあってなんとか2点を返しただけ。投手も佐原くんにホームランを打たれるなどで2対6で完敗。試合後には『甲子園に行けるチームとはこういうチームだよ』という話をしました」(長尾 健司監督)
9月、高松商は鳴門(徳島)と練習試合を開催し、「希望郷いわて国体」への出場を控えた3年生チームとも対戦。冒頭の指揮官コメントはその際の感想である。
夏の甲子園ではセンバツ優勝の智辯学園(奈良)を下しベスト8。さらに国体では夏の甲子園王者・作新学院(栃木)も破ることになる「うずしお打線」。最終到達点・本物を体感したことで高松商は旧チームが成し遂げたセンバツ準優勝の重圧を徐々に解き放とうとしている。
事実、秋季大会の試合内容も良化してきている。初戦の高松工芸戦は5点差を終盤3回で取返し7対6で逆転サヨナラ勝ちという際どい試合運びだったが、前日の高松南戦は3人の投手リレーで1対0で完封勝ち。そしてこの日は、土庄に対し打線は4番・植田 理久都(2年主将・捕手・右投右打・178センチ81キロ・東かがわリトルシニア出身)の4打数3安打3打点をはじめ、10安打11得点。投手陣も最速136キロをマークした松岡 志祐(1年・右投右打・177センチ69キロ・東かがわリトルシニア出身)他、4人の2安打完封リレーで5回コールド勝ち。盤石であった。
吉岡 涼大(土庄)
特に打線は光るものがあった。前日に四国学院大香川西打線に対し最速136キロのストレートなど強気の投球で110球2安打完封した中岡 一輝(1年・167センチ67キロ・右投右打・土庄町立土庄中出身)に対しても、見極めをしっかりして7安打の他に7四死球を選び、3回で74球を投じさせて攻略につなげた。
指揮官は試合後「自らのストライクゾーンがないので、まだ初球から振れていない」と旧チームとの差を明示したが、その段階としては正しい道を歩んでいるといえよう。
小豆島・土庄(2017年度より新設・小豆島中央)、三豊工・観音寺中央(2017年度より統合・観音寺総合)の2016年度で統合される4校のうち、最後の砦として奮闘した土庄についても触れたい。「流れを止めてやれなかった」と中塚 智也監督は悔いたが、スタメン9人中1年生が6人という中にあって観音寺第一、四国学院大香川西の県内強豪を下したチーム力は十二分に評価してよい。
これで小豆島に続く2年連続「島からのセンバツ」は難しい状況となった土庄だが、彼らにはまだ単独校で出場できる「1年生大会」も残っている。ぜひ、土庄としてのフィナーレを「県優勝」で飾ってほしい。そう切に思うのは筆者だけではないはずだ。
(文=寺下友徳)
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