順天vs和光
攻守にいい感触の順天が5回コールド勝ち
順天・切原君
夏の経験者も多く、「久しぶりにいい感じでチーム作りができていると思います」と、和田光監督もある程度の手ごたえを感じているというこの秋の順天。その言葉を証明するかのような、順天の好守にそつない形の仕上がりぶりの5回コールドゲームで、代表決定戦へ進出しを決めた。
初回はお互いに様子を見あったというような感じもあったが2回、すぐに順天打線は東京和光の中島君を捉えた。
この回、先頭の5番切原君が四球で出るとしっかりとバントで送り、続く島田君が中前打して順天はソツなく先制点を挙げる。さらに、渡部君も左翼線へ二塁打してこの回2点。
すぐに1点を返されたが3回には一死から佐藤新九郎君が内野安打で出ると、盗塁死球などで二死一二塁となって後、6番岡本君が中前へ返し、これが二塁打となり2者が生還。さらに暴投と四球後、盗塁で二三塁としたところで、渡部君が中前打してさらに2点。
4回には一死一三塁から、重盗を決めて機動力も示した。そして勢いは止まらない5回、先頭の岡本君が右中間へ三塁打すると、島田君のタイムリーで帰し、その後も9番中村君のタイムリー打や、随所に好センスを感じさせてくれていた、背番号19ながら1番を任されている森君が中越二塁打し、さらに失策も絡んでこの回も5点が入って決定的な得点差となった。
1年生ながら、この夏の大会も投げていたと試合経験の豊富な順天の先発切原君は、終始自分の巣で投球を続けていた。そして、岡本捕手も好リードでいい配球だなと感じていた。すると、和田監督は、「配球についてはバッテリーというよりも、全員でいつも考えるようにしています。試合中でも、迷った配球があったら集まって、全員で話し合うというようなこともやっています」と、まさにチームとして配球を考えることをテーマとしているということだった。そして、この試合では、見事にその成果が出たともいえる切原君の好投だったといっていいのではないだろうか。
さらに言えば、投球リズムがいいことでそれが攻撃につなげられたということにもなった。順天としては、攻守にイメージ通りの好試合だったと言えそうだ。
登録メンバー全員で10人という東京和光は、3番で遊撃手の室橋君が“逆一本足打法”とでもいおうか、左打席で最初に左足を上げて、それから足踏みをするような感じでスイングしていくというユニークさ。室橋君は守りでも、ほとんど構えていないような形からサッとグラブを出して打球を処理するなど、トリッキーな面を見せていた。
2回には四球とバントで一死二塁として6番吉田君の右前打で1点を返した東京和光だったが、結局安打はこの一本のみだった。
攻守に、順天がしっかりとしており、その差がそのままスコア差となって表れたようだった。
なお、この試合で球審を務めた横井光氏は都立片倉の出身で、現在は多摩大の2年生で、都立片倉の宮本秀樹監督のススメもあって東京都審判員を務めている。この日は、公式審判として母校へ戻ってきて、その役を果たしたといっていいであろう。今、各都道府県で現場の審判員の高齢化は深刻になってきている。それだけに、こうした若い審判員が積極的に活躍することも、高校野球運営としては大事な支えとなっていくことは確かだ。
(文=手束仁)
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