新城vs百合丘
ワンチャンスをものにした新城が、接戦を振り切る
新城・大本君
台風の影響で、予定の日程がずれ込んだ秋季県大会のブロック予選。まだまだ、蒸し暑さも残り、天候も不安定な状況ではあるが、9月早々には、県大会が始まる神奈川県。早くも、チーム作りとしては、最初のピークを作っていかなくてはいけない。
前日は、シートノックまで終えて、さあ、試合というところで突然の雷雨によって中止となってしまったというこのブロック。そのことで、いくらかコンディション作りが難しくなっているという現実は否めないだろう。とはいえ、リーグ戦で戦うことが出来る神奈川県の一次ブロック予選。まずは、当面の三試合をどのように戦っていくのかということが最初のテーマとなる。
夏のメンバーが何人か残っている百合丘は、比較的早い形でチームを仕上げていくことが出来、今月中旬の甲子園見学を兼ねた関西遠征では、天理や大商大高、といった近畿の強豪とも互角の戦いが出来たという。
そんな百合丘に真っ向勝負を挑んだ神奈川新城は、先発した大木君がしっかり腕を振る丁寧な投球で、百合丘打線を封じていた。また、百合丘も背番号11の右スリークォーターやや変則気味の金城君が持ち味を出して、相手打線を打ち切らせず、前半を終わってお互いに3安打ずつで両投手の凌ぎ合いという展開になっていた。
こうなったら、先制点が大きくモノを言いそうだなと思っていた矢先の6回、神奈川新城は先頭の4番鈴木敦君が中前打で出る。金城君は、何とか後続を断とうと力投するが、俵君に対して追い込んだところでストライクを取りに行った球が甘く高めに入ってしまった。そこを俵君が逃さず叩いて右中間の三塁打で先制。さらに野選などで一死一三塁となり、8番小笠原君のぼてぼての当たりが失策を招いて2点目。さらに、二死二三塁から1番川村君も右前打して神奈川新城にとっては大きな3点目が入った。
その裏を神奈川新城の大本君は3人で抑えたものの、7回には先頭の下道君に安打を許し、けん制悪送球などで親類を許すなど、疲れも示していた。そんなこともあって、神奈川新城の島袋佑也監督は、8回からは定番のリリーフとして左腕宮田君を送り出した。しかし、宮田君は四死球などで塁を埋めてけん制悪球に捕逸、下道君のタイムリー打などもあって2失点。1点差となってしまった。
こうして9回は、1点を巡るしびれる工房となったのだが、百合丘は遊撃手の佐保田主将が、「この回は、絶対3人で終わるぞ」と、7回からリリーフのマウンドに立っていた腰原君に声をかける。腰原君もそれに呼応して遊ゴロ、三振、捕飛ときっちり3人で終える。しかし、神奈川新城も9回は、遊撃手からマウンドに立った川村君がスイスイと自分のリズムで簡単に二死を取り、その後に1安打は許したものの最後も一塁ゴロに抑えて辛くも逃げきった。
選手個々の経験も豊富で、力では1枚上かと思われた百合丘だったが、もう一つ攻守に噛み合わなかったというのが正直な印象だった。
この秋から復帰した宮地洋人監督は、いくらか渋い表情だった。
「0対0という状況で、どこまで我慢が出来るのかなというところだったのですが…、打ちとしては攻守に機能していませんでしたね。6回の1イニングだけでやられてしまったという感じなのですが、あそこも3点目が余分でしたね」と悔いていた。そして、「そもそも初回の無死の走者が、サインミスでアウトなんていう始まりの試合でした。そんなのは初めてでしたね」
最初からどこかちぐはぐな部分があって、それが最後まで尾を引いてしまった形になり、百合丘としては不本意な内容の試合となってしまったようだ。
これで百合丘は1勝1敗。3戦目に県大会出場を賭ける戦いとなった。神奈川新城もこれで1勝1敗、次に県大会進出への望みを託すこととなった。
(文=手束 仁)
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