北海vs聖光学院
一戦ごとに強くなる北海ナイン 投打ともに成長し、甲子園常連の聖光学院を破る!
一戦ごとに強くなっている。そう実感させた北海の戦いぶりであった。初のベスト4を狙う聖光学院、そして88年ぶりのベスト4を目指す北海。
先制したのは聖光学院だった。1回裏、聖光学院が一死満塁のチャンスを作り、5番鎌倉 誠の犠飛、6番佐藤 駿矢の右前適時打やワイルドピッチで3点を先制される。ミスからの失点で、これは北海にとっては苦しい流れだった。
だが北海は2回表、一死一、三塁のチャンスを作り、8番北海 大西健斗の左前適時打とさらに押し出し死球で1点を返し、2対3と1点差に迫ると、4回表には二死一、二塁から2番菅野伸樹の左前適時打、3番佐藤佑樹の中前適時打で勝ち越しに成功。さらに5回表には5番川村友斗の2試合連続本塁打やスクイズで6対3と点差を広げる。さらに8回表、二死一塁から5番川村が右中間を破る適時二塁打で1点を追加して、7対3とリードを広げた。
終盤に畳みかけた北海は上位、下位も関係なバットを振れる選手が多いこと。3番佐藤佑は、レベルスイングを心掛け、広角に鋭い打球を飛ばせる選手で、打球1つ1つが速い。そして三塁守備も打球反応が良く、この試合でも三塁線の打球に素早く対応。さらに捕球してから投げるまでも速く、強肩。なかなかハイレベルな三塁手だ。4番を打つ佐藤 大雅(2年)は、粘っこいステップから、低めのボールにも対応できる打てるキャッチャー。エース・北海 大西 健斗を粘り強くリード。さらに強肩でもあり、来年の北海道を代表する捕手になる逸材だろう。
そして5番を打つ川村は、2試合連続本塁打を打ったように、パワフルなスインが光る左の強打者。本塁打を打った打席を振り返るとインコース寄りのボールに強く、インパクトからトップまで無駄のないスイングができており、下半身の使い方もしっかりとしていて、まだ2年生とは思えないほど素晴らしいスイングができていた。
7番に下がっているが、もともとクリーンナップを打つ下方 忠嗣もパワフルなスイングを見せる左の強打者で、しっかりと手元で呼び込んで強烈な打球を打ち返すことができている。
そして投げてはエースの大西が2回以降、しっかりと立て直した。右スリークォーターから投じる直球は常時130キロ後半~最速143キロを計測。重量感あるストレートは連投となっていても投げることができており、低めへのコントロールがしっかりとしていること。打てると思っても、コーナーギリギリに球威ある直球を投げることができているので打ったら内野ゴロ。スライダー、チェンジアップ、カーブを低めに投げ分けができていた。コントロールが良いので、球数が少なくて済む。116球完投と、1イニングあたり、12球、13球と非常に少ない球数で収めることができている。高卒プロという凄味はないが、コントロールの良さに加え、球数少なく、負担が小さいフォームで投げられているのはケガをしたことで、自分の投球を見なおたことがきっかけだろう。1つのケガが大西を大きくさせたのであった。
チームとして88年ぶりのベスト4進出を決めた北海。一戦ごとに強くなっている様子が見える。次は秀岳館。死力を尽くして戦い抜くことを期待したい。
(文=河嶋 宗一)
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