北海vs日南学園
大西健斗、昨年の屈辱を乗り越え、22年ぶりのベスト8に導く
大西健斗投手(北海)
北海のエース・北海 大西健斗。昨年2年生ながら甲子園のマウンドを踏んだが、1人もアウトを取ることができず、降板してしまった。そして故障に苦しみ、1年間まともに投げられなかったが、この夏に復活を遂げ、2年連続の甲子園出場を導いた投手である。
2回戦ではアドゥワ誠の投げ合いを制し、勝利。右スリークォーターから常時135キロ~140キロ前後の速球には重量感が感じられ、内外角へきっちりと投げ分ける制球力があり、スライダー、フォークを低めに集める投球。ストライクを取ることに苦労していた昨年と比べるとまるで別人のようである。22年ぶりのベスト8をかけて臨んだ日南学園戦でも粘り強い投球を見せる。
1回表、好調の4番・益田海成に適時打を打たれ1点を失うが、北海は2回に4番佐藤 大雅の中前安打などで二死三塁とすると、7番下方 忠嗣が左前適時打を放ちすぐさま同点に追いつく。
北海はチャンスを多く作るが、日南学園の堅い守備で勝ち越し点を阻まれ、0が刻まれていく。だが8回、一死二塁のチャンスを作り、4番佐藤 大雅の適時打で1点を勝ち越すと、さらに5番川村 友斗が内角直球を振り抜き、ライトスタンドへ飛び込む2点本塁打。8回裏に、3点を奪った。
リードは3点で十分。北海の先発・大西は打たせて取る投球に徹していたが、最後の2人は三振を狙いに行き、まず芳賀憲伸を140キロのストレートで空振り三振に打ち取ると、3番前田尚輝にはフォークで空振り三振。92球完投勝利で、ついにベスト8進出を決めたのであった。
大西の制球力、ゲームメイク能力は素晴らしく、それでいて速球には球威があり、実戦派右腕へ大きく成長した。
次は連日連投になってしまうが、今日のような粘り強い投球ができるか注目をしていきたい。
(文=河嶋宗一)
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