広島新庄vs富山第一
堀瑞輝、リズミカルな投球で、90球完投勝利!
昨夏、同校初の1勝をもたらした広島新庄のエース・堀瑞輝が、この夏、2勝。同校初のベスト16入りを果たした。その堀だが、初戦に比べて格段に投球のレベルが上がっていた。
堀の魅力は、ドラフト候補に挙がっている左腕にない横の角度で勝負できる投手である。左スリークォーターから投げ込む直球は、常時135キロ~140キロ前後。だが、対角線に決まるストレートは左打者からすれば嫌な球筋であり、右打者も内角へ思い切り攻め、打ちあぐんでいた。特に厄介なのは、125キロ前後のスライダー。背中越しから一気に曲がる軌道で、富山第一の左打者が苦労していた。かといって、外角ばかりにならず、左打者の内角に攻めたり、攻め方に偏りがなく、実戦的な一面を見せた。毎年、常時140キロを超える左腕はいるものだが、左サイドで、コントロールも良くて、140キロも出せる投手はそうはいない。それを考えると、堀の価値はかなり高まっていくだろう。
堀の投球はリズミカルである。そのため、守備にもリズムが生まれ、打線も活気があった。
3回裏、広島新庄は、1番杉村 泰嘉の安打で出塁すると、その後、一死一、三塁のチャンスを作り、4番豊岡 稜人が二塁ゴロ。挟殺プレーの間に三塁走者が生還し、1点を先制。だが4回表、富山第一は宝達 洋樹の二塁打から始まり一死三塁から3番岩城 竣貴のニゴロで同点に追いつかれてしまう
だが広島新庄は6回裏、一死満塁から9番古本 幸希が右中間を破る適時二塁打を放ち、3対1と勝ち越しに成功。8回裏には、田中 政範の適時打、さらにエースの堀瑞輝の適時三塁打、古本の犠飛で1点を追加し、7対1と点差を広げた広島新庄。
堀はわずか90球に抑える好投を見せ、完投勝利。初のベスト16入りを決めた。広島新庄の攻撃を見ると、富山第一の投手陣に速球にしっかりとついていきながら、甘く入ったボールを見逃さず打ち返すことができていた。コツコツと打ち返し、つなぎの野球で着実に1点を追加する様は、さすが試合巧者というべき試合内容であった。
去年から出場している選手が多いが、昨夏の甲子園から秋、春の経験を糧に、チームとして成熟している。3回戦でも攻守ともに躍動することを期待したい。
(文=河嶋宗一)
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