試合レポート

宮崎商vs宮崎大宮

2016.07.26

<h4 class="title"

「ここぞ」の集中力!もらったチャンスに猛打で逃げ切る。

↓両チームの戦績↓
宮崎商
1回戦:14対2都城泉ヶ丘(6回コールド)
2回戦:6対3延岡星雲
3回戦:2対0都城[第3シード]
準々決勝:11対4宮崎日大(8回コールド)

宮崎大宮
1回戦:7対4宮崎北
2回戦:13対3宮崎農(6回コールド)
3回戦:5対4聖心ウルスラ[第7シード]
準々決勝:9対2富島[第2シード](7回コールド)

 最激戦区から4試合無失策、52安打、チーム打率4割1分2厘、4強のなかで最も堅守強打を発揮している宮崎商。一方、4試合で盗塁24、犠打0、積極果敢な走塁と高精度の進塁打が光る機動破壊・宮崎大宮は30年ぶりの4強。優勝候補の一角であったシード校を撃破して、夏の主役は俺たちだ!と言わんばかりの勢いをみせる宮崎市内のノーシード校同士が激突した。

 宮崎商の先発マウンドに立つのは、ここまで4戦を一人で投げ抜いてきた黒木一(背番号3)。疲れが全くないと言えば嘘になる。そんな状態のせいなのか、珍しく変化球の制球に苦しみ、毎回走者を背負う苦しい立ち上がりだった。だが、180cm・85kgから気迫で投じられる「ここぞ」の一球は一級品。痛打を浴びず0行進とした。

 対する宮崎大宮の先発左腕エース・新井は、相手打者のタイミングをかわす抜群の投球術が健在。さらにバックの野手7人は、一球毎に、コースに応じたポジショニングをみせ、内野手で約1~2m、外野手は約3~5m左右に動く。

 大胆なシフトが見事に的中し、打球は面白いように野手の正面に飛ぶ。結果、新井は1・2回をパーフェクトに抑える最高の立ち上がりをみせた。


 しかし、3回一死から突如乱れる。宮崎商8番・石川に死球、9番・蛯原に四球を与えてしまう。

 この、もらったチャンスを確実にものにするのが宮崎商打線。1番キャプテン・山村が綺麗に流して、左中間へ運ぶ先制適時二塁打を放つ。一死二三塁となり、2番・山﨑のセカンドゴロで三走・蛯原が迷わずゴー!2点目となるホームインに成功した。そして続く3番・黒木琉が中前適時打を放ち、宮崎商3対0とリードを広げる。

 序盤で、この3点は重い。宮崎大宮としては、なんとしてでもここで抑えたいところだが、宮崎商は「ここぞ」の男が打席に入る。

 宮崎商二死一塁、4番ピッチャー・黒木一。

 簡単にツーストライクと追い込まるも、内角高めに入った3球目のスローカーブ。黒木一が我慢強く、ぶれない軸でタイミングを待ち、鋭い一振りを放つ。弾丸ライナーでライトスタンド中段へ飛び込む2ランホームランを放った。準々決勝に続く黒木一の1発が、球場をどよめかせた。

 こうなると、黒木一がマウンドで躍動する。4回には直球136キロをマーク、大会初となる味方エラーが出たが、併殺、奪三振でしのいだ。
4回裏、9番・蛯原の中犠飛で6点目をもらった黒木一は、のりにのって5回を三者凡退にしとめる。

 そして5回が終わって、宮崎商6対0宮崎大宮


 今大会4強入りした宮崎大宮は、3ヶ月前に行われた「第37回四校定期戦」ぶりに全校応援を実現させた。今日も、伝統の応援団とブラスバンドを含む約1200人による盛大な応援のなかで、この夏、野球ができる喜びをかみしめていた。このまま終わるわけにはいかない。グラウンド整備を終えて迎えた6回表。

 やっと、宮崎大宮が機動力野球を発揮する。一死から2番・黒木が四球で出塁すると、3番・寺原がエンドラン成功。一走・寺原が盗塁成功して二三塁のチャンスに。ここで、4番・日高の右犠飛で1点を返す。なおも二死三塁から、5番・石橋が勝負強く右中間へ適時打を放つ。さらに、6番・清水のピッチャーゴロが敵失を誘って3点目をあげると、宮崎大宮スタンドのボルテージが一気にあがった。[stadium]サンマリンスタジアム[/stadium]は、今大会一番の盛り上がりをみせる。

 4回からマウンドにあがった西條は、テンポよく投げ込み得点を許さない。断然、宮崎大宮ペース。

 そして、8回表。2番手として7回からマウンドにあがっている宮崎商・清水から、宮崎大宮3番・寺原、4番・日高が連続安打で出塁!すると、5番・石橋がしっかりとセカンドへ進塁打。自分たちの野球ができている。

 ここで、6番・清水がピッチャー強襲のショートゴロを放つ。その間に、三走・寺原が4点目の生還!しかし、三塁でオーバーランした走者がタッチアウトで、後続もたおれた。

 宮崎商6対4宮崎大宮のまま、9回表・宮崎大宮の攻撃。一死から、9番・川末が四球で出塁するも、反撃はここまでだった。

 宮崎大宮OBである宮崎商・樋渡祐志監督(就任2年目)。母校を打ち負かして決勝進出を果たしたからには、甲子園に行くしかない。今大会、日南学園を倒せるのは、「ここぞ」の強靭なメンタルをもつ宮崎商ナインとなるか?まさに、頂上決戦となる「私立・日南学園vs公立・宮崎商」。

 波乱続きとなった宮崎大会に、宮崎商が最後の大波乱を起こすかもしれない。第1シード相手に「妥協無縁」だ!

(文=三角 竜之

宮崎商vs宮崎大宮 | 高校野球ドットコム
注目記事
第98回全国高等学校野球選手権大会 特設ページ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!