試合レポート

横浜隼人vs藤沢清流

2016.07.26

横浜隼人、コールド勝ちも横浜戦へ向けての課題とは

 横浜隼人の持ち味は強打。各打者の能力の高さは横浜にひけをとらない。練習試合では強豪相手に圧巻の試合を見せていたという。だが、それが公式戦で発揮できるとなれば別だ。この試合含めての4試合で33得点。確かに点を取っているように見える。だがこの試合見る限り、11安打を打っていても、強打者らしい見るものを驚かせるような鋭い当たりは少なかった。

 1回裏、大森巧夢(3年)の適時二塁打で1点を先制したが、3回裏には内野ゴロで1点を追加。強打で圧倒できないところにもどかしさを感じる試合内容ではなかっただろうか。4回表には四球などで無死満塁のチャンスを作り、バッテリーミスで1点を返され、さらに犠飛で同点に追いつかれる結果に。

 4回裏に、一死満塁から浅見遼太郎(3年)の犠飛で勝ち越しに成功するが、その後の得点は相手のエラーが絡んだ得点ばかりで、横浜隼人らしい強打ではなかった。アウトになる内容を見るとヘッドが下がり、インパクトまで遠回りした状態でボールを捉えている。そのため打球に強さがない。もう一度、スイング軌道が自分のモノになっているのか正す必要があるだろう。

 最後、8回裏、一死二、三塁から183センチ90キロの堀本 侑志(3年)が目の覚めるような左越え適時二塁打を放って、サヨナラを決めた。これが横浜隼人の打者の打球である。

 こういう日もあるということだろう。次は横浜と対戦することが決まったが、次こそ自分たちの打力の強さを存分に見せつける機会がやってきた。藤平尚真相手にどれだけ力を発揮できるか。

 そして投手陣はもっとストライクゾーンで勝負していい。2番手左腕の金澤大地は130キロ半ばながらうまくストライクゾーンで勝負できていた。ああいう攻めの気持ち、テンポの良さを横浜隼人投手陣は大事にしていただきたい。

 最後にタレント揃いの横浜隼人の好選手を2人紹介したい。3番を打つ大森(179センチ81キロ 右投げ左打ち)は前日の橘学苑戦で本塁打を放つなど打撃好調の大森。3番に昇格した大森は先制打を打つなど、強打が自慢。癖のない構えから、弧を描くようなシャープなスイングから繰り出される打球は圧巻。次の試合でも注目したい選手だ。

 そして8番を打つ志村竜也は、この夏に一気に急浮上したショート。ショートの守備はかなり評判だったがシートノックの守備を見てすぐに納得できた。身のこなしの良さが高校生とは思えないぐらい素晴らしい。そして体の中心でボールを扱うことができているので、ミスがない。持ち替えも速く、状況により両手で捕球したり、シングルハンド、逆シングルで捕球したりと判断が良い。スローイングの確実性も高く、神奈川県内ではトップクラスのショートストップといっていいのではないだろうか。派手さではなく、しっかりと基本に基づいて、守備ができているので、精度の高いパフォーマンスができているのだ。

 そしてコンパクトなスイングから放たれる打球も鋭く、ひ弱さがない。横浜隼人のような強打のチームではなかったら、1,2番を打っていてもおかしくない選手だ。そして足も速く、5回裏にセーフティバントを決めたが、かなり速い選手だった。横浜隼人といえば伝統的に強打者が多いが、こういうタイプも選手もいるのかと驚きを隠せなかった。これほど守備力が高いショートとなると、大学以上の関係者は黙っていないだろう。かなり需要のある選手になっていく予感をさせた。

(文=河嶋宗一)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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