試合レポート

北越vs柏崎常盤・柏崎総合・川西・久比岐

2016.07.17

連合チーム2勝目ならず!シード校・北越盤石の試合運びでベスト16へ

 7月8日に開幕し、一週間が経過した新潟大会は、この日から3回戦に突入。

 [stadium]新発田五十公野球場[/stadium]では、春俊優勝の北越が登場。対する相手は、2回戦で長岡高専との激闘を制し、連合チームとして初勝利をつかみ、新潟県の高校野球史に新たな歴史を刻んだ柏崎常磐・柏崎総合・川西・久比岐。試合はシード校・北越が盤石の試合運びで試合を制した。

 前回の試合で、夏の大会での連合チーム初勝利を挙げた柏崎常磐・柏崎総合・川西・久比岐の先発は、エースの久保天哉(2年・久比岐)。

 その立ち上がり、先頭打者を高めのストレートで三振に打ち取ると、ヒット一本を許したものの、0点に抑える上々の出来。一方、北越の先発は、2回戦の新潟工戦で五回完投勝利を収めた小林太郎(3年)。

 小林は、立ち上がり球が上ずり、コントロールに苦しむも初回を三者凡退に抑える。試合が動いたのは二回、北越は6番・岡元佑起(3年)、勝野聖就(3年)の連続ヒットでチャンスを作ると、8番・渡辺蓮(2年)の犠飛で1点を先制。また、四回にも先頭・岡村郁哉(3年)のツーベースをきっかけに、一死満塁のチャンスを作ると、9番・小林がツーベースを放ち、2点を追加。

 さらに1番・今道裕(3年)のスクイズも決まり、リードを4点に広げる。援護をもらった小林は、二回以降、制球を低めに集め、相手打線に的を絞らせない。五回を70球、被安打1、無失点でまとめる。

 すると、小林のテンポのいいピッチングに触発されてか、北越打線が爆発。六回にも、代打・佐藤真太朗(3年)、1番・今道、3番・阿部辰一郎(3年)のタイムリーで3点を追加。7対0とリードを広げる。

 すると六回には、本大会初登板となる注目の左腕・江村伊吹(3年)登場。コントロール重視のピッチングのように見えながら、2三振を奪い三者凡退で片付けると、最後は右の本格派・玉木葵(3年)が登場。コントロールに苦労しながらも、0点で切り抜け、ゲームセット。春準優勝の北越がベスト16へと駒を進めた。

 またこの試合、北越6番・岡元は4打数4安打の大暴れ。1回戦でも3打数3安打と打率十割を継続中。こちらも注目して4回戦の戦いを見守りたい。


エキサイティングプレイヤー 久保天哉(2年・投手)

 飛ばすだけ飛ばした。そんな気合いを感じる立ち上がりだった。

 柏崎常盤・柏崎総合・川西・久比岐の2年生エース・久保は、強力打線が売りの北越相手に臆することなく、力一杯の直球を投げ込んだ。

  初回、先頭の今道に対して力のある外角のストレートで三振。続く皆川泰成(2年)も投ゴロに抑え、春の大会2本塁打の4番・小杉瑞樹(3年)も力で押し切り、レフトフライに終わった。

 三回まで3安打1失点。キレのいいストレートが外角いっぱいに決まっていた。だが、打順が二回り目に入ると、そうは簡単に行かなかった。百戦錬磨の北越打線は、久保に三回までに62球を投じさせ、四回少し球威が落ちてきたところを見逃さなかった。

 それまでじっくり球筋を見極めていた打線が、初球から積極的に打ちに出ると、足も絡めた攻撃で鮮やかに3点。さらに疲れの見える久保を攻め、六回にも3点。だが、100球を超え、序盤の球威がなりを潜めた七回もマウンドに上がった久保は気力で投げ続けた。結果、味方の好守もあって、この夏最後のイニングを無失点で終えた。

 部員不足で次の大会に出られるかどうか分からない。単独チームで出場できるのか、それとも再びこのチーム編成で連合を組むことになるのか。それすら現時点では分からない。

 だがこの大会、1勝したということ、そしてこの試合の序盤、北越打線をストレートで牛耳ったということは紛れもない事実。しっかりスタミナを付け、自慢のストレートを磨き、今大会で引退する3年生の想いも背負って、再び夏のマウンドに帰ってくることを今から楽しみにしたいと思う。


エキサイティングプレイヤー 佐藤真太朗(3年・)、小林太郎(3年・投手)

 この試合北越の勝利の立役者は、レギュラーではない2人だった。

  「投」の主役は、背番号18の小林太郎。1年秋に江村とともにベンチ入りし、期待された右腕だったが、2年以降はケガに泣かされ、今春も不調でベンチ入りできるかどうかのボーダーラインに立っていた。

 だが、大会前最後の練習試合で好投し、ベンチ入りを勝ち取ると春の大会では、決勝でリリーフ登板し、無失点。春以降も好調を維持していたという小林は、夏のベンチ入りを勝ち取ると、2回戦の先発に続き、この試合も先発。大会前の取材で「コーナーに投げ分け、しっかり粘って試合を作りたい」と話した通り、五回を見事に投げきった。

 北越投手陣というと、県内No.1の呼び声高い江村と右の本格派・玉木に注目が集まるが、「その2人には負けたくない」というライバル心も大きなモチベーションなのだろう。

 一方「打」の主役は、背番号19の佐藤真太朗。長打が魅力の打者として秋ベンチ入りしたものの、「ベンチで何にも仕事が出来なかった」(大会前談)と、春はベンチ外。

 それでも、自慢のバッティングと精神的な成長で、今夏再びベンチ入りを勝ち取ると、この試合の六回に好投の小林の代打で公式戦初出場。見事お手本通りのセンター前ヒットで貴重な五点目を挙げた。打った本人以上に、ベンチが盛り上がっている様子が印象的だった。

 レギュラーが活躍して勝利を収めるのは重要なことだが、レギュラー外のベンチ入りメンバーの活躍はチームに勢いをもたらす。いよいよ死闘の幕開けと鳴る四回戦へ弾みをつけた両選手の活躍だった。

(文=町井 敬史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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