試合レポート

昭和一vs都立淵江

2016.07.03

前半と後半で違う展開の試合、昭和一が前半のリードをキープ

 昭和一の伊藤謙吾君の先頭打者本塁打で華々しく始まった試合。続く笈川君も中前打して、イケイケどんどんの勢いを示していた昭和一だったが、都立淵江バッテリーは盗塁を刺して一旦はその勢いを阻止。

 そしてその裏、今度は都立淵江が先頭の中島君が中前打すると、廣瀬君も左前打で続き、篠原君のバントが失策を誘って無死満塁。併殺崩れの間に同点とすると、さらに一三塁から盗塁を仕掛けると送球ミスを誘い逆転。なおも一死一三塁でスクイズがバント安打となるなどでこの回3点で都立淵江が逆転。しかし、昭和一もすぐに2回に押し出しで1点差とし、3回には打者10人で8番黒瀬君の満塁で一掃の左中間二塁打などで5点を奪い取って再逆転。取って取られてという展開で、ここまでで約1時間を要するという長い試合になってしまったが、収まるところのない展開で落ち着かない試合でもあった。

 そんな状況は4回にも続いていった。昭和一は四球の走者を盗塁と送球ミスで三塁まで進めると、遊撃邪飛を廣瀬君が背走して捕球したが、態勢が悪いのを見て三走五十嵐君が本塁を突くというソツのないところを見せて突き放す。ところが、その裏には都立淵江は二死一三塁から二番廣瀬君の左越二塁打で1点を返す。
5回も昭和一は途中から9番に入っていた安田君の左越二塁打に始まって、暴投や押し出しで2点を追加すると、その裏には都立淵江が一死一塁から三塚君の三塁打や代打細川君の犠飛などで2点を返す。こうして、追いつ追われつというか、どちらも相手にやらずもがなのチャンスを与えるなどで長い試合展開となった。

 ところが5回からは、左翼に下がっていて再度マウンドに戻った都立淵江の黒川君と、初回から投げ続ける吉田君との投手戦に様相が変わった。何がどういう切っ掛けなのかはわからないが、全く別の試合のような雰囲気と展開になっていった。黒川君は立ち上がりに緊張もあったのだろうが、いったん下がっての再登板では気持ちも落ち着いていたのではないだろうか。

 こうなると、都立淵江にもチャンスは十分あるかなという展開でもあったのだが、9回に昭和一は一死から安田君の中前打と、1番伊藤君の中越三塁打、笈川君の犠飛で2点を追加。これが、ダメ押しとなって、前半の乱戦、後半の投手戦は序盤で逆転してリードを保った昭和一が逃げ切った。

 都立淵江の茶川 剛史監督は、かつて2001年に都立城東が甲子園出場を果たした際の主将でもある。一昨年に都立淵江に赴任して秋から監督に就任している。自分が体験してきた都立城東での野球とは選手の意識も環境も異なっているであろうが、自分が学んできた野球を伝えていきたいという意識は強い。「見えないところで努力して手を抜かない」というのは、都立城東では当たり前のことだった。そんな意識を今の都立淵江の選手たちにも浸透させていきたいという意識で取り組み、奮闘努力中でもある。

 3番手として二塁手からリリーフのマウンドに立って健闘した下手投げの三塚君ら4人の3年生の夏は終わってしまった。しかし、黒川君ら2年生は9人おり新チームではすべてのポジションを埋められるだけの数はいるし、1年生は12人も入ってきている。これだけでも、赴任当時は9人しかいなかったことを思えば、雲泥の差である。負けを糧として、次へ向けてのステップアップをしていく姿を見守っていきたい。

(文=手束 仁

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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